浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0113A01: | て。小國也。しかれども。佛敎の靈驗は。大國にも |
J17_0113A02: | よらず。小國にもよらず。聞法の得益は。上代とも |
J17_0113A03: | いはず。末代ともいはず。若上人の德あらずば。い |
J17_0113A04: | かでか下凡の信をすすめん。希代の美談なりとぞ。 |
J17_0113A05: | 時の人申侍ける。 |
J17_0113A06: | 皇圓阿闍梨事 |
J17_0113A07: | 功德院阿闍梨皇圓。自身の分際を斗。たやすく此度 |
J17_0113A08: | 生死を出べからず。若度度生をかへば。隔生即忘の |
J17_0113A09: | ゆへに。定めて佛法をわすれんか。不如。長命の |
J17_0113A10: | 報をうけて。慈尊の出世に逢奉らんと思て。命長き |
J17_0113A11: | ものを勘るに。鬼神よりも。虵道はまされりとして。 |
J17_0113A12: | 虵にならんと誓て。死期の時。水を乞て掌に入て終 |
J17_0113A13: | にけり。其後。皇圓阿闍梨。花山院大政大臣忠雅公 |
J17_0113A14: | の御許へまいりて。聊申入べき事侍りて。參たるよ |
J17_0113A15: | し。申入ける間。彼闍梨は已に逝去の人也。いかで |
J17_0113A16: | かここに來るべきや。人たがへにこそとて。尋させ |
J17_0113A17: | られけるに。功德院の阿闍梨皇圓と申ものにて侍る |
J17_0113B18: | よし。重て申ける間。不審のあまりに出向て。對向 |
J17_0113B19: | せられけるに。皇圓阿闍梨の條。無疑間。抑御逝去の |
J17_0113B20: | よし承り侍は。ひが事にやと仰られければ。闍梨の |
J17_0113B21: | 申さく。逝去は勿論也。それに付て聊所望の事有て |
J17_0113B22: | まいり侍り。其故は。適適人身を受といへども。二 |
J17_0113B23: | 佛の中間にさへ生て。猶生死に輪迴せん事の悲しく |
J17_0113B24: | 侍れば。長命の報を感じて。慈尊の出世を待奉らん |
J17_0113B25: | が爲に。誓て虵身をうくる所に。大海は中夭の恐あ |
J17_0113B26: | り。池にすまんとすれば。主なき所なし。遠江國笠 |
J17_0113B27: | 原の庄は御領也。彼庄に櫻の池といふ池あり。申あ |
J17_0113B28: | づかりて居所と定て。閑に慈尊の出世を待奉らんが |
J17_0113B29: | 爲に。まいりて侍るよし申ければ。子細に不及。そ |
J17_0113B30: | れの心に有べしと。御返事を承て。たつと見るほど |
J17_0113B31: | に。やがて見えず成ぬ。ふしぎの事也と口遊する所 |
J17_0113B32: | に。幾程の日數をへずして。笠原の庄よりしるし申 |
J17_0113B33: | けるは。櫻の池に雨降らずして。俄に洪水出で。風 |
J17_0113B34: | ふかずして忽に大浪たちて。池の中の塵悉くはらひ |