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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0112A01: ほくは叡山の月より出て。樂邦の風をのぞみ給へ
J17_0112A02: る。此化導を聞及ばん人。誰か稱名の行に倦で。願
J17_0112A03: 往生の志をゆるくせんや。
J17_0112A04: 高倉天皇御受戒事
J17_0112A05: 同年の春。高倉の天皇。上人を大内に召されて。一
J17_0112A06: 心の妙戒を受させたまふ。階下の卿相。簾中の貴女。
J17_0112A07: ともに。戒德を貴み。同く戒香に薰ぜずといふ事な
J17_0112A08: し。
J17_0112A09: 後白河法皇説戒往生要集御聽聞事
J17_0112A10: 後白河の法皇。上人を召請せられ。法住寺殿にて説
J17_0112A11: 戒ならびに往生要集を談ぜしめたまふに。往生極樂
J17_0112A12: の敎行は。濁世末代の目足なり。道俗貴賤たれか歸
J17_0112A13: せざらんものと侍るより。御心肝に銘じて。今始て
J17_0112A14: きこしめさるる樣に。御感涙甚し。仍左京の權太夫
J17_0112A15: 隆信の朝臣に仰て。眞影を圖せしめ。末代の爲に蓮
J17_0112A16: 花王院の寳藏にぞ納られける。仁和寺の法親王よ
J17_0112A17: り。御師範のよしにてめさるるといへども。隱遁の
J17_0112B18: 身にをそれて。かたく辭し申されけり。しかれども。
J17_0112B19: 八條院。殷福門院。宣陽門院。七條院。准后宮より
J17_0112B20: はじめ奉て。大臣諸卿。戒文の受者。念佛の歸依。
J17_0112B21: 天下に滿みてり。
J17_0112B22: 於上西門院説戒時虵生天事
J17_0112B23: 上西門院にして。上人。七日説戒し給ひけるに。か
J17_0112B24: ら垣のうへに。一の虵わだかまれり。更にはたらか
J17_0112B25: ずして。聽聞の氣色あり。結願の日にあたりて。此
J17_0112B26: 虵忽に死けり。其頭二つに破にけり。中より蝶のご
J17_0112B27: とくなるもの。とび出ると見る人もあり。或は天人
J17_0112B28: のごとくにして。昇り上ると見る人も有けり。昔。
J17_0112B29: 遠行する聖ありけり。日くれにたれば。野中に塚穴
J17_0112B30: のありけるに。とどまりて。終夜阿毗曇を論じける
J17_0112B31: に。樹の上に五百の蝙蝠あり。此聽聞の功德に依て。
J17_0112B32: 五百の應眞となりき。いま此一すぢの虵。七日受戒
J17_0112B33: の功力にこたへて。雲を分て上ぬるやと。人人隨喜
J17_0112B34: す。かれは上代なるうへ。大國也。これは末代にし

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