浄土宗全書を検索する
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| 巻＿頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J17_0109A01: | ことし。 |
| J17_0109A02: | 紫雲覆日本國事 |
| J17_0109A03: | 法相三論の碩德。面面に其義解を感じ。天台花嚴の |
| J17_0109A04: | 明匠。一一にかの宏才をほむ。叡空上人をはじめと |
| J17_0109A05: | して。四人の師範歸りて弟子となる。時の人の諺に |
| J17_0109A06: | 云。智惠第一法然房と。然ども出離の道にわづらひ |
| J17_0109A07: | て。身心安からず。報恩藏をひらきて。出離生死の |
| J17_0109A08: | 爲。衆生濟度の爲に。一切經をひらき見給ふ事五遍 |
| J17_0109A09: | なり。披覽する所に。一代聖敎を思惟し給ふに。彼 |
| J17_0109A10: | も難く是もかたし。誠にこれ顯密事理の行業は。利 |
| J17_0109A11: | 智精進の器のみ翫べしといへども。愚鈍下智の機根 |
| J17_0109A12: | は。生死解脱の道を失へり。然に惠心の往生要集を |
| J17_0109A13: | 開見給ふに。此集には偏に善導和尚の釋義をもて指 |
| J17_0109A14: | 南とせり。善導の疏には。亂想の凡夫稱名の行によ |
| J17_0109A15: | りて。順次に淨土に生べき旨を判じて。凡夫の出離 |
| J17_0109A16: | をたやすくすすめられたり。とりわきひらき見んと |
| J17_0109A17: | 思ひて。別して見る事三遍。前後合て八遍。或詞に |
| J17_0109B18: | 一心專念彌陀名號。乃至順彼佛願故の文にいたり |
| J17_0109B19: | て。忽に本願の正意。稱名にあり。是に過たる善惡 |
| J17_0109B20: | 凡夫の出離の肝心なしと見立給て。我すでに此道理 |
| J17_0109B21: | を得たり。自身の出離におきては思ひ定つ。他の爲 |
| J17_0109B22: | に此法をひろめんとおもふ所存の義。佛意に叶や不 |
| J17_0109B23: | 叶やと。思ひわづらひて。まどろみ給へる夢に。紫 |
| J17_0109B24: | 雲たなびきて日本國に覆。雲の中より無量の光を出 |
| J17_0109B25: | す。光の中より百寶色の鳥とびきたりてみちみて |
| J17_0109B26: | り。又高山あり。けん所にして西方にむかへり。 |
| J17_0109B27: | 長河あり。洪汗として邊畔なし。峰のうへには紫雲 |
| J17_0109B28: | そびき。河原には孔雀鸚鵡等の衆鳥あそぶ。雲の |
| J17_0109B29: | 中に僧あり。上は墨染。下は金色にて。半金色の衣 |
| J17_0109B30: | 服なり。上人問て宣く。これは誰にかあると仰ら |
| J17_0109B31: | れければ。答て宣く。我はこれ善導なり。汝專修念 |
| J17_0109B32: | 佛の法をひろむる故に。證とならんが爲に來れる也 |
| J17_0109B33: | と。又天台の菩薩大乘戒は釋迦如來より十九代。法 |
| J17_0109B34: | 義相承。上人の一身にあり。此故に王后以下。海内 |