浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0107A01: | 出家の本意を遂侍ぬる。今に於ては。跡を林藪にの |
J17_0107A02: | がれんと。闍梨の云。たとひ志ありとも。まづ六十 |
J17_0107A03: | 卷を讀渡して後。その本意を遂べしとの給へば。我 |
J17_0107A04: | いま閑居をねがふ事は。ながく名利の望をやめて。 |
J17_0107A05: | 心靜に佛法修學せんが爲也。此仰尤本意也とて。 |
J17_0107A06: | 十六年の春より。十八歳の秋に至るまで。三ケ年の光 |
J17_0107A07: | 陰をふるに。六十卷の淵源をきはむ。五時四敎の廢 |
J17_0107A08: | 立。惠日をかがやかす事。程程師範にこえ。三觀一 |
J17_0107A09: | 心の妙理。祖風をつたふる事。深く佛意にかなへり。 |
J17_0107A10: | 入叡空上人室事 |
J17_0107A11: | 此の新發意。日に隨て智辯無窮なる間。闍梨いよい |
J17_0107A12: | よ感歎して云。まげて講説をつとめ。速に大業をと |
J17_0107A13: | げて。佛家の樞鍵として。圓宗の棟梁にそなはり給 |
J17_0107A14: | へと。度度念頃にすすむれども。更に承諾の詞なく |
J17_0107A15: | して。なを隱遁の色ふかかりければ。然ば黑谷に住 |
J17_0107A16: | して。慈眼房を師とせよ。かの慈眼房叡空は。眞言 |
J17_0107A17: | 大乘律におきては。當時たぐひすくなき英髦なりと |
J17_0107B18: | いひて久安六年庚午十八歳の九月十二日に。初めて闍 |
J17_0107B19: | 梨相具して。黑谷の叡空上人の室に至る。上人發心 |
J17_0107B20: | の由來をとひ給ふに。親父夜討の爲に。世を早せし |
J17_0107B21: | より。其遺言片時も不忘次第。具にかきくどき給ひ |
J17_0107B22: | ければ。委ききて隨喜して云。少年にして早く出離 |
J17_0107B23: | の心を發せり。誠にこれ法然道理の聖りとて。法然 |
J17_0107B24: | をもて房號とす。いみなは源空。これ則初の師の源 |
J17_0107B25: | 光の初の字と。後の師の叡空の後の字をとれるな |
J17_0107B26: | り。 |
J17_0107B27: | 法花修行時白象出現事 |
J17_0107B28: | 黑谷に住してより後は。叡空上人に隨て密と戒とを |
J17_0107B29: | ならひ。其後一切經論。飢をしのびて日日にひらき。 |
J17_0107B30: | 自他宗の章疏眠をわすれて。よなよなに見る。其外古 |
J17_0107B31: | 今の傳記日記。和漢の祕書祕傳。手に取。眼にあて |
J17_0107B32: | ずといふ事なし。諸宗に渡て修行せられけるに。法 |
J17_0107B33: | 花三昧修行の時は。白象道場に現ず。上人ただ獨こ |
J17_0107B34: | れを拜す。餘人見ざる所也。 |