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J2380 四巻伝 耽空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0081A01: 今は往生極樂の名をとどめんと願ず。宿習のたすく
J17_0081A02: るところ、只ごとにはあらじ。
J17_0081A03: 墳塋發掘の圖
J17_0081A04: 倩往來を思ば、祖父金吾朝綱朝臣、東大寺の脇士觀
J17_0081A05: 世音菩薩造立したてまつりて、かたみを東海に留め、
J17_0081A06: 孫子沙門賴綱法師は、西方界の敎主阿彌陀如來に逸
J17_0081A07: 歸して、たましひを西刹にまかす。祖孫ちぎりふか
J17_0081A08: く、前後たのみあり。しかうしてやうやく洛中をと
J17_0081A09: ほらせ給に、面面に涙をながし、各各に袖をしぼる、
J17_0081A10: 恐は雙樹那含のゆふべのいろ、門門に水をまうけ、
J17_0081A11: 戸戸に唇をうるほす、拔提河のみぎはをあゆむにに
J17_0081A12: たり。六月廿三日、炎天の事なれば、このほか、も
J17_0081A13: よさぬ武士、其かずをしらず。是偏に但念佛行人、
J17_0081A14: 一向欣求のともがら、總て千餘騎の勢也。彼月支、
J17_0081A15: 栴檀の尊容をぬすみたてまつりし時、若干の群兵を
J17_0081A16: こして、うばばんとくわだてき。日域、靈骨を改葬
J17_0081A17: せん時、寧災難なからんや。仍かれも矯り、是も手
J17_0081B18: ぐすねをひく。
J17_0081B19: 遺形護衞奉送の圖
J17_0081B20: 東行西行、ほどへにければ、火葬したてまつる、や
J17_0081B21: うやうの奇瑞どもきこゆ。靈雲そらにみち、異香庭
J17_0081B22: にかほる。然後、模眞影以修月忌、設禮奠以
J17_0081B23: 行遠忌。門門戸戸誰家にか不惜三五夜中之光を、
J17_0081B24: 國國處處何堺にか不望六八弘誓之雲哉。然間、遺
J17_0081B25: 弟之諍、一念多念、はるかに續末法萬年之命、貝葉
J17_0081B26: 之種、六時別時、鎭研本願三輩之心。
J17_0081B27: 荼 毘 の 圖
J17_0081B28: 上人、求法修行のはじめ、先當伽藍に詣す、定て御
J17_0081B29: 祈請旨侍るか。釋迦、彌陀ちぎりふかく、此土、他
J17_0081B30: 土、縁あさからずして、遂に遺骨を、件地におさむ。
J17_0081B31: 初從此佛菩薩結縁、還於此佛菩薩成就、まこと
J17_0081B32: なるかなや。抑栖霞館は、 嵯峨天皇別業、即阿彌
J17_0081B33: 陀堂を建立して、栖霞寺と號するかたはらに、同御
J17_0081B34: 厩を食堂にし、鷹屋を鐘堂にし、泉殿を閼伽井にす。

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