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J2380 四巻伝 耽空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0074A01: 寄。此日本國だにも、貴くやごとなき靈地靈驗の砌
J17_0074A02: には、皆悉嫌たり。比叡山は、是傳敎大師の建立、
J17_0074A03: 桓武天皇の御願所也。大師、自結界して、谷を堺、
J17_0074A04: 峰を限て、女人の形を入られざれば、一乘の峯、高
J17_0074A05: 顯て、五障の雲たなびく事なく、一味の谷深して、
J17_0074A06: 三從の水流るる事なし。藥師醫王の靈像は、耳に聞
J17_0074A07: て目にはみず、大師結界の靈地は、遠見て近く臨ま
J17_0074A08: ず。高野山は、弘法大師結界の峰、眞言上乘繁昌の
J17_0074A09: 地也。三密の月輪普雖照、女人非器の暗をばてらさ
J17_0074A10: ず。五瓶の智水ひさしく雖流、女人垢穢のあるをば
J17_0074A11: すすがず。聖武天王の御願十六丈金銅の舍那の前に
J17_0074A12: は、遙是拜見、扉の内は、不被入。天智天皇の建
J17_0074A13: 立五丈石像の彌勒の前は、仰で是禮拜ども、壇上に
J17_0074A14: は障あり。乃至、金峯の雲上、醍醐の霞の底までも、
J17_0074A15: 女人更にかげをささず。悲哉、雖有兩足、上ざる
J17_0074A16: 法の峯あり、ふまざる佛の庭あり。恥哉、雖兩眼明、
J17_0074A17: 見ざる靈地あり、拜ざる靈像あり。此穢土の瓧礫荊
J17_0074B18: 棘の山、泥木素像の佛だにも、猶其障ある程の罪重
J17_0074B19: き身なれば、諸經諸論中に嫌、在在所所に擯出せら
J17_0074B20: れて、三途八難にあらずよりは、趣べき無方、非
J17_0074B21: 六趣四生よりは、受べき形もなし。然者、道暹は經
J17_0074B22: を引て、十方世界、女人有處には、必地獄有と釋し
J17_0074B23: 給り。如此三世の諸佛にも捨終られ、十方淨土にも
J17_0074B24: 門をさされたる罪惡の女人をば、只彌陀のみぞ助救
J17_0074B25: はんと云願を發給る可誠馮かる物也。所謂四十八
J17_0074B26: 願中の第十八の念佛往生の願には、十方衆生、至心
J17_0074B27: 信樂、欲生我國、乃至十念、若不生者、不取正
J17_0074B28: 覺と誓給ば、一切善惡の男女、皆是に漏たるはなけ
J17_0074B29: れども、第卅五の願に、別して女人往生の願を立り。
J17_0074B30: 是則女人は、よもと疑をなして、念佛往生の益に可
J17_0074B31: 漏故、別して女人往生の願をば立給る也。つたなき
J17_0074B32: 穢土の堺だにも、猶嫌たる女人なれども、本願を馮、
J17_0074B33: 名號を唱ば、出過三界、萬德究竟の報土に、迎と願
J17_0074B34: じ給へる廣大慈悲の忝さは、中中詞を以も難述者

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