浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0074A01: | 寄。此日本國だにも、貴くやごとなき靈地靈驗の砌 |
J17_0074A02: | には、皆悉嫌たり。比叡山は、是傳敎大師の建立、 |
J17_0074A03: | 桓武天皇の御願所也。大師、自結界して、谷を堺、 |
J17_0074A04: | 峰を限て、女人の形を入られざれば、一乘の峯、高 |
J17_0074A05: | 顯て、五障の雲たなびく事なく、一味の谷深して、 |
J17_0074A06: | 三從の水流るる事なし。藥師醫王の靈像は、耳に聞 |
J17_0074A07: | て目にはみず、大師結界の靈地は、遠見て近く臨ま |
J17_0074A08: | ず。高野山は、弘法大師結界の峰、眞言上乘繁昌の |
J17_0074A09: | 地也。三密の月輪普雖照、女人非器の暗をばてらさ |
J17_0074A10: | ず。五瓶の智水ひさしく雖流、女人垢穢のあるをば |
J17_0074A11: | すすがず。聖武天王の御願十六丈金銅の舍那の前に |
J17_0074A12: | は、遙是拜見、扉の内は、不被入。天智天皇の建 |
J17_0074A13: | 立五丈石像の彌勒の前は、仰で是禮拜ども、壇上に |
J17_0074A14: | は障あり。乃至、金峯の雲上、醍醐の霞の底までも、 |
J17_0074A15: | 女人更にかげをささず。悲哉、雖有兩足、上ざる |
J17_0074A16: | 法の峯あり、ふまざる佛の庭あり。恥哉、雖兩眼明、 |
J17_0074A17: | 見ざる靈地あり、拜ざる靈像あり。此穢土の瓧礫荊 |
J17_0074B18: | 棘の山、泥木素像の佛だにも、猶其障ある程の罪重 |
J17_0074B19: | き身なれば、諸經諸論中に嫌、在在所所に擯出せら |
J17_0074B20: | れて、三途八難にあらずよりは、趣べき無方、非 |
J17_0074B21: | 六趣四生よりは、受べき形もなし。然者、道暹は經 |
J17_0074B22: | を引て、十方世界、女人有處には、必地獄有と釋し |
J17_0074B23: | 給り。如此三世の諸佛にも捨終られ、十方淨土にも |
J17_0074B24: | 門をさされたる罪惡の女人をば、只彌陀のみぞ助救 |
J17_0074B25: | はんと云願を發給る可誠馮かる物也。所謂四十八 |
J17_0074B26: | 願中の第十八の念佛往生の願には、十方衆生、至心 |
J17_0074B27: | 信樂、欲生我國、乃至十念、若不生者、不取正 |
J17_0074B28: | 覺と誓給ば、一切善惡の男女、皆是に漏たるはなけ |
J17_0074B29: | れども、第卅五の願に、別して女人往生の願を立り。 |
J17_0074B30: | 是則女人は、よもと疑をなして、念佛往生の益に可 |
J17_0074B31: | 漏故、別して女人往生の願をば立給る也。つたなき |
J17_0074B32: | 穢土の堺だにも、猶嫌たる女人なれども、本願を馮、 |
J17_0074B33: | 名號を唱ば、出過三界、萬德究竟の報土に、迎と願 |
J17_0074B34: | じ給へる廣大慈悲の忝さは、中中詞を以も難述者 |