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J2380 四巻伝 耽空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0070A01: 樣歌、
J17_0070A02: なにしに我らがおいにけん、思へばいとこそかな
J17_0070A03: しけれ。いまは西方極樂の、みだのちかひをたの
J17_0070A04: むべし。
J17_0070A05: とうたひければ、むらさきの雲、靑海波にたなびき、
J17_0070A06: 音樂、人に聞て、異香、身にかほりつつ、往生をと
J17_0070A07: げ侍ければ、今、上人をおがみたてまつりて、同じ
J17_0070A08: く其縁をむすばむと、をのをの申侍ける。
J17_0070A09: 室泊遊女結縁の圖
J17_0070A10: 同三月廿六日、讚岐國鹽飽地頭駿河權守高階保遠入
J17_0070A11: 道西仁が舘に寄宿。種種にきらめきたてまつりて、
J17_0070A12: 溫室いとなみ、美膳そなへたてまつるこころざし、
J17_0070A13: いとあはれにこそ侍めれ。それにつけても、念佛に
J17_0070A14: 縁なき衆生は、この事となくそしりあざけり難ずる
J17_0070A15: は、天魔波旬のいはするか、外道邪鬼の思はするか。
J17_0070A16: たとへば、鸚鵡のよく物をいふ、人の云ざることを
J17_0070A17: ばいはず、山母の人の思をしる、おもはざる事をば
J17_0070B18: さとらず。凡大天狗の媚て、よき刻限に生たる衆生
J17_0070B19: を、さまたげとらかして、大善根をうゑさせぬか、
J17_0070B20: 不輕大士の罵詈にたえても、すすむべし。杖木を忍
J17_0070B21: ても、かまえてみちびき侍らばや、いかなるはかり
J17_0070B22: ごとをめぐらし侍べき。この心に住して、をのをの
J17_0070B23: すゑの世までも、人びとをこしらゑて、念佛をすす
J17_0070B24: め給へ。あへて人のためにははんべらぬ事ぞと、返
J17_0070B25: 返補屬し給。
J17_0070B26: 地頭西仁饗應の圖
J17_0070B27: 讚岐國少松御庄、弘法大師の建立、觀音靈驗の地、
J17_0070B28: 生福寺につき給。抑當國に、同大師、父の御ために、
J17_0070B29: 其名をかりて、善通寺と云伽藍おはします。起文云、
J17_0070B30: これに參ぜん人びとは、必一佛淨土の友たるべきよ
J17_0070B31: し侍ければ、今度のよろこび是にありとて、尋まい
J17_0070B32: り給ける。
J17_0070B33: 善通寺參詣の圖
J17_0070B34: 左辨官下土佐國。

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