浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J17_0069A01: | 土佐國。しかは侍けれども、月輪の禪定殿下の御沙 |
J17_0069A02: | 汰として、法性寺の小御堂に逗留、同三月十六日、 |
J17_0069A03: | 都を出給。信濃國角張成阿彌陀佛、力者の頭領とし |
J17_0069A04: | て、總て我もわれもと參勤。六十餘人 |
J17_0069A05: | 力者小松殿へ參勤の圖 |
J17_0069A06: | この次第をみる人人、なげきかなしみければ、かれ |
J17_0069A07: | らをいさめむがために、驛路は是大聖のゆくところ。 |
J17_0069A08: | 漢には一行闍梨、日本には伇行者。謫所は又權化の |
J17_0069A09: | すむ砌也。震旦には白樂天、我朝には菅丞相也。在 |
J17_0069A10: | 纒出纒皆火宅也。眞諦俗諦しかしながら水驛也。爰 |
J17_0069A11: | 角張者、俗姓は早いでにき。王家を守多田の苗裔、 |
J17_0069A12: | 法家に始て入。朝敵を拉伊州の玄孫なれども、本師 |
J17_0069A13: | 上人に從て奴と也、僕となれり。故盡力輿を舁、同 |
J17_0069A14: | 採花汲水の伇をいとはず、捨身給仕、兼朝粥非時の |
J17_0069A15: | 膳をいとなむ。 |
J17_0069A16: | 同日、大納言律師公全西國へながされ給けるは、律 |
J17_0069A17: | 師の船、さきに出けれども、上人、くだらせ給とき |
J17_0069B18: | きて、しばらくおさへて、上人の船にのりうつりて、 |
J17_0069B19: | 律師、一目をみあげて、上人の膝に、かしらをかた |
J17_0069B20: | ぶけて、なくこゑ天をひびかすといへども、上人は |
J17_0069B21: | 涙をもたてず、念佛しておはしけるほどに、律師の |
J17_0069B22: | 船より、とくとくと申ければ、いよいよなごりをお |
J17_0069B23: | しみながら、本船にのりうつり給にけり。 |
J17_0069B24: | 遠流の首途の圖 |
J17_0069B25: | 室泊につき給ければ、君だちまいり侍けり。むかし、 |
J17_0069B26: | 小松天皇、八人の姬宮を、七道につかはして、君の |
J17_0069B27: | 名をとどめ給中に、天王寺別當僧行尊拜堂のために |
J17_0069B28: | くだられける日、江口、神崎の君達、御船ちかく、 |
J17_0069B29: | ふねをよせける時、僧のふねに、みぐるしくやと申 |
J17_0069B30: | ければ、神歌をうたひいだし侍ける。 |
J17_0069B31: | うろちよりむろちにかよふ釋迦たにも羅睺らかは |
J17_0069B32: | ははありとこそきけ。 |
J17_0069B33: | と打いだし侍ければ、さまざまの纒頭し給ける。 |
J17_0069B34: | 又をなじきとまりの長者、老病にふして、最後に今 |