浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0015A01: | の姓名源元彥を賜り。遠流の宣旨をくだされければ。 |
J17_0015A02: | 上人の勸化をあふぐ道俗貴賤皆なげきかなしみあへ |
J17_0015A03: | るに。上人は感悅の色ましまして。源空が遠流を蒙 |
J17_0015A04: | こと。邊土の化縁すでに熟せり。誠によろこぶ所な |
J17_0015A05: | り。普萬機を敎化して。念佛門に入しめんとぞ仰せ |
J17_0015A06: | られける。慈悲誓願の色。外に顯れて。哀にたふと |
J17_0015A07: | かりけり。月輪の禪定殿下。しばらく御離別の恨を |
J17_0015A08: | 息んが爲に。法性寺の小御堂に。上人を一夜逗留た |
J17_0015A09: | てまつられけり。上人の給はく。會者定離は常のな |
J17_0015A10: | らひ。今はじめたるにあらず。何ぞ深歎んや。宿縁 |
J17_0015A11: | 空からずば。同一蓮に坐せん。淨土の再會甚近にあ |
J17_0015A12: | り。今の別は暫の悲み。春の夜の夢のごとし。誹謗 |
J17_0015A13: | ともに縁として。先に生て後を導ん。引攝縁はこれ |
J17_0015A14: | 淨土の樂なり。夫現生すら猶もて疎からず。同名號 |
J17_0015A15: | を唱へ。同一光明の中にありて。同聖衆の護念を蒙 |
J17_0015A16: | る。同法尤親し。愚に疎と思食べからず。南無阿彌 |
J17_0015A17: | 陀佛と唱給へば。住所は隔といへども。源空に親し |
J17_0015B18: | とす。源空も南無阿彌陀佛と唱たてまつるが故な |
J17_0015B19: | り。念佛を縡とせざる人は。肩を並膝を與といへど |
J17_0015B20: | も。源空に疎かるべし。三業皆異なるが故なりとの |
J17_0015B21: | 給ば。禪定殿下悲哀心を迷し。一言もの給はざりけ |
J17_0015B22: | り。 |
J17_0015B23: | 同三月十六日に。法性寺を立て配所に趣給ふ。配所 |
J17_0015B24: | は讚岐國小松の庄なり。斯乃門弟住蓮安樂不善の咎とて。 |
J17_0015B25: | 吹毛の讒言によりて。罪なき上人を流刑に行れけり。 |
J17_0015B26: | 凡讒人の訴に依て左遷せられし賢哲。上代ためしな |
J17_0015B27: | きにあらず。吾朝には役行者。菅丞相。異國には一 |
J17_0015B28: | 行阿闍梨。白樂天。これ皆罪なくして。謫所にすみ |
J17_0015B29: | 給へり。夫權化の善巧は。凡智測難し。信謗縁を結 |
J17_0015B30: | び。違順益を蒙る。上人配所に趣給へば。帝都は闇 |
J17_0015B31: | に燈を失しがごとく。邊土は盲の明を得るに似たり。 |
J17_0015B32: | 洛陽は悲を含。田舍は喜を懷。悲ても念佛を唱。喜 |
J17_0015B33: | もて名號を稱す。悲喜倶に善を勸。大權の化益誠に |
J17_0015B34: | 巧なりと。たふとかりけり。 |