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J2360 十六門記 聖覚 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0013A01: するに。且二種あり。一には觀念法門に。如觀經
J17_0013A02: 下文。若有人至心常念阿彌陀佛及二菩薩。觀音勢
J17_0013A03: 至常與行人。作勝友知識隨逐影護し給ふといへ
J17_0013A04: り。勢至菩薩道場に影現し給こと。深經釋に叶へり。
J17_0013A05: 誰か疑心を懷かんや。二には上人は勢至菩薩の垂迹
J17_0013A06: なりと云こと世擧てこれを稱す。爰に時衆等。念佛
J17_0013A07: 勇猛にして。罪障微薄なれば。彌信心をまし。勇猛
J17_0013A08: に勤行せしめんが爲に。聖力加祐して。幽に本身を
J17_0013A09: 見し給ふ歟。然ば則若は在世にも若は滅後にも。上
J17_0013A10: 人勸化の流を信じて酌ん人は。自ら解脱の行を正し
J17_0013A11: て。兼ては他の誤を直べし。已に信ぜんものは彌信
J17_0013A12: じ。いまだ信ぜざるものは早これを信ずべし。
J17_0013A13: 後白川法皇。上人を勅請ありて。菩薩戒を説しめ。
J17_0013A14: 兼ては往生要集を講ぜしめ給ふ時に。上人聲を澄し
J17_0013A15: て。夫往生極樂の敎行は。濁世末代の目足なり。道
J17_0013A16: 俗貴賤誰か歸せざらん者と。よみあげ給へば。此一
J17_0013A17: 言に。萬乘百官殿中簾中。今始てきこしめさるるや
J17_0013B18: うに。各心肝に染てたふとく。皆感涙を流し給へり。
J17_0013B19: 太上法皇は。聞法隨喜の餘に。左京權太夫藤原隆信
J17_0013B20: 朝臣に勅して。上人の眞影を寫さしめて。蓮華王院
J17_0013B21: の寶藏に收られける。
J17_0013B22: 東大寺の大勸進。俊乘房重源上人。念佛信仰の餘
J17_0013B23: に。一の意樂を發て。我が國の道俗。閻魔呵責の庭
J17_0013B24: 上に跪て其名字を答ん時。佛名を唱しめん爲に。阿
J17_0013B25: 彌陀佛名をつくべしとて。先我が名を南無阿彌陀佛
J17_0013B26: とぞ號せられける。我が朝の阿彌陀佛名は。此より
J17_0013B27: 始れり。
J17_0013B28: 第十一 殿下敎命造書門
J17_0013B29: 月輪の禪定殿下。宿縁に催されて。信仰世に超。崇
J17_0013B30: 重比類なく。西方をもて所期とし。念佛をもて正業
J17_0013B31: とし給へり。此によりて建久九年戊午の春。對馬左衞
J17_0013B32: 門尉重經を御使者として。淨土の法門度度聽聞すと
J17_0013B33: いへども。公私忩劇の間。即施即廢なり。庶幾は紙
J17_0013B34: 墨に載給て。廢忘に備侍らんと仰せられければ。上

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