浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0012A01: | 上人。鸚鵡の囀が如に各各の疑難を會釋し給へば。 |
J17_0012A02: | 諸宗の明匠舌を卷て言ことなく。靜なること春の日 |
J17_0012A03: | に似たり。爾時上人。聖道の諸宗は。理ふかく解微 |
J17_0012A04: | にして。證を得ること甚難し。此則世くだり人愚に |
J17_0012A05: | して。機敎相違すれば。其修行に堪ず。ながく苦海 |
J17_0012A06: | に沈淪して。いまだ涅槃の岸に到らず。淨土の一門 |
J17_0012A07: | は解し易く行し易ければ。得脱最速なり。愚鈍下智 |
J17_0012A08: | を捨ざれば。庸學なほ勇あり。破戒重罪を簡ざれば。 |
J17_0012A09: | 惡人なほ生る。行住坐臥を別ざれば。念念に常に行 |
J17_0012A10: | じ。時處諸縁を論ぜざれば。散亂猶唱ふ。其止惡を |
J17_0012A11: | いへば。念時日の三懺悔を許せり。其修善をいへば |
J17_0012A12: | 一念十念猶生ると勸たり。和尚の釋禮讚に唯有念佛 |
J17_0012A13: | 蒙光攝。當知本願最爲強。眞形光明遍法界。蒙 |
J17_0012A14: | 光觸者心不退なりといへり。攝取不捨の光益は。念 |
J17_0012A15: | 念稱名の德をさづく。尤これを信ずべし。尤これを |
J17_0012A16: | 勤べしと。一日一夜詞を盡て。淨敎を講説し給へば。 |
J17_0012A17: | 聽聞の道俗。或は涙を流て仰信し。或は聲を擧て歡 |
J17_0012B18: | 喜す。其中に坊主法眼顯眞は。雙眼より涙を流し。 |
J17_0012B19: | 佛前に踊立て。自香爐をとり。旋遶行道して。高聲 |
J17_0012B20: | に念佛し給へば。南北の明匠三百餘人。異口同音に |
J17_0012B21: | 念佛を修行すること。三日三夜間斷なし。其外の參 |
J17_0012B22: | 禮結縁の聽聞衆は。其數を知らざりき。爾しより |
J17_0012B23: | 以降。處處の道場。悉佛名を唱。童子の戲にも併念 |
J17_0012B24: | 佛を口遊とす。其後法眼顯眞は。召出されて。天台 |
J17_0012B25: | の座主に補せらる。叡山の高僧常倫に超出せり。此 |
J17_0012B26: | 等の明匠。皆上人に歸し給ふ。又座主顯眞。十二人 |
J17_0012B27: | の時衆を定おきて。不斷念佛をおこなひ給ふ。一向 |
J17_0012B28: | に稱名相續して。餘行をまじへず。其行を勤始てよ |
J17_0012B29: | り。今に退轉なし。 |
J17_0012B30: | 有時上人。靈山寺にして。三七日夜の不斷念佛を勤 |
J17_0012B31: | 行し給に。燈なくして光明あり。第五の夜にいたり |
J17_0012B32: | て。行道するに。勢至菩薩同列に交立給けり。時衆 |
J17_0012B33: | 夢のごとく幽に此を拜して。上人にこのよしを申 |
J17_0012B34: | に。爾ることも侍らんと答給ふ。謹で此瑞相を讚嘆 |