浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J17_0010A01: | 慚。且は勅命を恐。然ば則一旦の宣旨に隨はんより |
J17_0010A02: | は。永辭せんにはしかずとて。固辭退申されけり。行 |
J17_0010A03: | 隆朝臣その志の堅固なるをみて。ことの由を奏しけ |
J17_0010A04: | れば。もし門徒の中に。其器量の者あらば。擧申べ |
J17_0010A05: | きよし。重て仰下されけるによて。上人。醍醐の俊 |
J17_0010A06: | 乘房重源を召て。勅に應じて參内せしむ。法皇後白川 |
J17_0010A07: | 喜給ひて。遂に大勸進の職に補せられにけり。上人 |
J17_0010A08: | 宣旨を辭して。偏に稱名の行を興し自利利他。唯專 |
J17_0010A09: | 修念佛のみにして。寸暇を惜給へり。 |
J17_0010A10: | 有時鎭西の聖光房と聖覺と但兩人。上人の御前に |
J17_0010A11: | て。淨土の法門聽聞しける時。聖光房。尋申て云。 |
J17_0010A12: | 仰て本願を信じ。實に往生を願ずれども。妄念鎭に |
J17_0010A13: | 起て止難。散亂彌倍て靜ならず。此條如何が候や。 |
J17_0010A14: | 上人答給はく。妄念餘念をもかへりみず。散亂不淨 |
J17_0010A15: | をもいはず。唯口に名號を唱よ。もし能稱名すれば。 |
J17_0010A16: | 佛名の德として妄念自止。散亂自靜り。三業自調て |
J17_0010A17: | 願心自發なり。然れば願生の心の少にも南無阿彌陀 |
J17_0010B18: | 佛。散亂の增時も南無阿彌陀佛。妄念の起時も南無 |
J17_0010B19: | 阿彌陀佛。善心の起時も南無阿彌陀佛。不淨の時も |
J17_0010B20: | 南無阿彌陀佛。淸淨の時も南無阿彌陀佛。三心の闕 |
J17_0010B21: | たるにも南無阿彌陀佛。三心具するにも南無阿彌陀 |
J17_0010B22: | 佛。三心現起するにも南無阿彌陀佛。三心成就する |
J17_0010B23: | にも南無阿彌陀佛。これすなはち決定往生の方便な |
J17_0010B24: | り。心腑に納て忘るることなかれ。聖覺尋て云。今 |
J17_0010B25: | の御義のごときは。三心を闕といへども。唯佛名を |
J17_0010B26: | 唱れば。名號の德として。三心發得して。往生すべ |
J17_0010B27: | しと聞へ候。然に和尚。虚假心の行人は。晝夜十二 |
J17_0010B28: | 時に。急に走急に作こと。頭然を拂がごとく。勇猛 |
J17_0010B29: | に勤行すとも。往生不可なりと。定判し給へり。彼 |
J17_0010B30: | 此の御義如何が合せんや。聖光房の云。予が所存も |
J17_0010B31: | 亦爾りと。上人答て云。此不審は今の所談にあらず。 |
J17_0010B32: | これは本より三心を具すれども。歷縁對境の時に。 |
J17_0010B33: | 如法ならざる。其治方を述なり。所引の和尚の解釋 |
J17_0010B34: | は一向に三心の闕たるを嫌。意趣もとも巧なり。是 |