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J2360 十六門記 聖覚 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0009A01: 夫。適値釋尊之遺法。盍勵出離之聖行。一生空暮。
J17_0009A02: 再會何日。眞言止觀之行。道幽易迷。三論法相之敎。
J17_0009A03: 理奧難悟。不勇猛精進者何修之。不聰明利智者
J17_0009A04: 誰學之。朝家簡定賜其賞。學徒競望增其欲。暗
J17_0009A05: 三密行恭登遍照之位。餝毀戒質誤居持律之職。
J17_0009A06: 實世間之假名智者之所厭也。今至念佛宗者。所行
J17_0009A07: 佛號不妨行住坐臥。所期極樂不簡道俗貴賤。衆
J17_0009A08: 生罪重一念能滅。彌陀願深十念往生。公家不賞自
J17_0009A09: 離名位之欲。檀那不祈亦無虚受之罪。況南北諸
J17_0009A10: 宗互諍權實之敎。西方一家獨無方便之門といへ
J17_0009A11: り。是故に末法には聖道の行人自然に虚僞を懷。念
J17_0009A12: 佛の行者は多は至誠なり。淨土門の少虚は。機の過
J17_0009A13: にして。行體の失にあらず。聖道門の多虚は。行法
J17_0009A14: の咎にして。機の失にはあらず。斯乃難行にして機
J17_0009A15: に應ぜざるが故なり。然れども萬機みな僞を懷べき
J17_0009A16: にあらず。利智精進にして機法相應せば。たやすく
J17_0009A17: 道を得べし。混亂すべからず。淨土宗の意は。難を
J17_0009B18: 捨てて易を取。敢偏執すること勿れ。二道の縁を糺
J17_0009B19: べし。
J17_0009B20: 治承四年庚子十二月二十八日。平家南都をせめしとき。
J17_0009B21: 東大寺に火かかりしかば。皆悉炎燒す。其後造興の
J17_0009B22: 爲に。右大辨藤原行隆朝臣をもて。大奉行に定られ
J17_0009B23: けるに。行隆。敬て往昔より彼寺は。一天四海の人
J17_0009B24: 民を勸て。御建立ありけり。今又勸進の聖を付られ
J17_0009B25: んか。眞力を假ずんば。俗補勇難と。勅答申し上け
J17_0009B26: れば。尤先例に任べしとて。大勸進の聖の沙汰侍け
J17_0009B27: るに。法然房源空こそ。其器量に當れりと。選定て。
J17_0009B28: 行隆朝臣を御使にて勅宣ありけるに。上人申されけ
J17_0009B29: るは。源空が好所は。念佛勸進の行なり。起立塔像
J17_0009B30: の大勸進職は其器量にあらず。若勸進の職に應ぜば。
J17_0009B31: 世務心を惱て。念佛轉退しなん。念佛永廢せは。唯
J17_0009B32: 佛意に背のみにあらず。兼ては亦和尚の意に違ん。
J17_0009B33: 若念佛退轉なからんと欲はば。造興成難かるべし。
J17_0009B34: 造營功畢ずんば。豈命旨に背ざらんや。且は聖見を

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