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J2360 十六門記 聖覚 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0007A01: 門に入て。始て六萬遍を唱。已上載先師詞上人其後一萬遍
J17_0007A02: を加て。毎日七萬遍の念佛の行者なり。有時上人悲
J17_0007A03: 歎しての給はく。當世諸方の道俗を見聞するに。無
J17_0007A04: 道心の者は。悉名利に住して。修行すること能ざれ
J17_0007A05: ば。生死を出るにあらず。道心智者は。今度輒生死
J17_0007A06: を出難と謂て。遠來縁を期す。是故に順次の得脱は
J17_0007A07: なはだ思を絶たり。信心の手を空して法財をとらず。
J17_0007A08: 所詮此は是或は淨土の縁なくして。累世難行の機な
J17_0007A09: り。或は淨土の縁あれども。いまだ良師に遇ざるの
J17_0007A10: 人なり。かくの如の二機は淨土の易行易往なること
J17_0007A11: をしらず。必永劫の行に趣。爰をもて源空が初の師。
J17_0007A12: 肥後阿闍梨皇圓は。宏才博覽にして。智慧深遠なり
J17_0007A13: しかども。我が機分をはかるに今度生死を出難し。
J17_0007A14: 蛇身長命の果報を受て。彌勒の出世に値て。得道せ
J17_0007A15: んと欲しけり。其願空からず。大蛇の身を受て。遠
J17_0007A16: 江國笠原の庄櫻池水面一町許に住給。智慧あるが故に。
J17_0007A17: 生死の離がたきことを知り。道心あるが故に。慈尊
J17_0007B18: に遇んことを願。然どもいまだ淨土の法門を知給は
J17_0007B19: ず。誠に淺猿きことなり。此條源空が深歎なり。爾
J17_0007B20: 時われもし此法門を知得たらましかば。信不信はい
J17_0007B21: ざしらず。勸化し申ん者を。哀なるかな。悲かな。
J17_0007B22: 出離の甚難ことを深悲て。蛇身三熱の苦を受給ん。
J17_0007B23: 第九 善導來現授敎門
J17_0007B24: 有時上人。予に示て云。源空已に導和尚の釋に歸し
J17_0007B25: て。其元意を得たり。其元意とは。亂想の凡夫。但
J17_0007B26: 無觀稱名の一行に依て。佛の本願をもて。增上縁と
J17_0007B27: して。順次に極樂世界に往生するなり。但自身の往
J17_0007B28: 生は決定して疑なし。然に有縁の蒙昧を勸進して淨
J17_0007B29: 土に生ぜしめんと欲ふ。所見の義勢是とやせん。非
J17_0007B30: とやせん。凡智辨難しと。かく思惟して。心に念じ
J17_0007B31: 勞ふ夜の夢中に。一人の僧あり。腰より上は墨染。
J17_0007B32: 裳より下は金色なる寶衣を著し給。予低頭合掌して
J17_0007B33: 問て云。大德は誰人ぞや。靈僧答給はく。我はこれ
J17_0007B34: 善導なり。汝專修念佛を弘通せんと欲する料簡の義

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