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J2360 十六門記 聖覚 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0006A01: 細に聞へ難と高聲に談じけるが。後には舌を卷て信
J17_0006A02: 伏し。良久聽聞して。掌を合せ讚して曰。我等が相
J17_0006A03: 承の法門。いまだかくのごとき深義をしらず。公は
J17_0006A04: 何さま直也人には非じ。恐はこれ佛陀の化現ならん。
J17_0006A05: 我願は初の問難の過を免ん爲に。一期の間供養した
J17_0006A06: てまつらんと欲すとて。毎年に供物を送られける。
J17_0006A07: 第八 信修念佛往生門
J17_0006A08: 上人生年九歳より。四十三に至まで。三十五年の學
J17_0006A09: 問は。これ偏に出離の道にわづらひ。順次解脱の要
J17_0006A10: 路をしらん爲なり。是に依て遍諸宗を學し給に。師
J17_0006A11: 匠かへりて弟子となりぬ。有時上人。予に語ての給
J17_0006A12: はく。法相三論天台華嚴眞言佛心の諸大乘の宗。遍
J17_0006A13: 學し悉明るに。入門は異なりといへども。皆佛性の
J17_0006A14: 一理を悟顯ことを明す。所詮は一致なり。法は深妙
J17_0006A15: なりといへども。我が機すべて及難し。經典を披覽
J17_0006A16: するに。其智最愚なり。行法を修習するに。其心翻
J17_0006A17: て昧し。朝朝に定めて惡趣に沈んことを恐怖す。夕
J17_0006B18: 夕に出離の縁の闕たることを悲歎す。忙忙たる恨に
J17_0006B19: は渡に船を失がごとし。朦朦たる憂〓は闇に道に迷
J17_0006B20: がごとし。歎ながら如來の敎法を習。悲ながら人師
J17_0006B21: の解釋を學。黑谷の報恩藏に入て。一切經を披見す
J17_0006B22: ること。既に五遍に及ぬ。然れども猶いまだ出離の
J17_0006B23: 要法を悟得ず。愁情彌深。學意增盛なり。爰に善因
J17_0006B24: 忽に熟し。宿縁頓に顯れ。京師善導和尚勸化の八帖
J17_0006B25: の聖書上人在世般舟讚未流布故云八帖書を拜見するに。末代造惡の凡
J17_0006B26: 夫。出離生死の旨を輒定判し給へり。粗管見してい
J17_0006B27: まだ玄意を曉めずといへども。隨喜身に餘り。身毛
J17_0006B28: 爲竪て。とりわき見こと三遍。前後合て八遍なり。
J17_0006B29: 時に觀經散善義の。一心專念彌陀名號の文に至て。
J17_0006B30: 善導の元意を得たり。歡喜の餘に聞人なかりしかど
J17_0006B31: も。予が如の下機の行法は。阿彌陀佛の法藏因位の
J17_0006B32: 昔。かねて定置るるをやと。高聲に唱て。感悅髓に
J17_0006B33: 徹り。落涙千行なりき。終に承安五年乙丑の春。齡四
J17_0006B34: 十三の時。たちどころに餘行をすてて。一向專修念佛

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