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J2360 十六門記 聖覚 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0005A01: 申されける。抑法弟聖覺。黑谷の爲體を闚見に。谷
J17_0005A02: 深して流淨。囂亂併去れり。路細して跡幽なり。隱
J17_0005A03: 居尤便あり。聖敎藏に滿り。修學自勇。本尊光を耀
J17_0005A04: す。行法何怠らん。遁世籠居の上人の。心を留給こ
J17_0005A05: と誠に其謂あり。上人此に住て。年月幾ならざるに
J17_0005A06: 眞言。戒律。一身に兼學して。血脈を叡空上人より
J17_0005A07: 稟承す。
J17_0005A08: 第七 披攬一代聖敎門
J17_0005A09: 一代の聖敎。飢を忍て終日披見し。諸宗の章疏。眠
J17_0005A10: を除て通夜習學す。敎文を多諳じ。義理を深悟る。
J17_0005A11: それ此篇に就て條條多端なれども。略して三五を記
J17_0005A12: す。具に載に遑あらず。
J17_0005A13: 一。暗夜に聖敎を見給に。燈なしといへども。室内
J17_0005A14: 明なり。白河の信空上人。此瑞相を拜見して身毛爲
J17_0005A15: 竪。感涙頻にして。ふかく上人の德を貴べり。
J17_0005A16: 二。華嚴經披讀の時。靑蛇經机の上に蟠る。信空上
J17_0005A17: 人又これを見て怪み心中に怖畏す。其夜の夢に。大
J17_0005B18: 龍かたちを現じて。我はこれ華嚴經を守護する所の
J17_0005B19: 龍神なり。我を恐るる事なかれ。上人を守たてまつ
J17_0005B20: らん爲に。今顯現すといへり。
J17_0005B21: 三。法華三昧を修行し給時。大白象王。道場に來現
J17_0005B22: せり。
J17_0005B23: 四。有時上人。予に語ての給く。我が性の分齊。何
J17_0005B24: なる大卷の書なりとも。三遍これを闚讀ば文義を諳
J17_0005B25: 記す。本朝將來の諸宗の聖敎廣披に。粗幽致を悟得
J17_0005B26: て皆本宗の印可を蒙りき。
J17_0005B27: 五。大納言律師寬雅に遇て。三論宗を習給ひし時。
J17_0005B28: かの宗の法門。自見の義を演給に。寬雅是を聞て遍
J17_0005B29: 身より汗を流し。言もいはず落涙して。隨喜の餘に。
J17_0005B30: 祕書を取出して。自宗の法門付屬するに器量の人な
J17_0005B31: し。貴客すでに此法門に達し給り。授與するに足り
J17_0005B32: とて悉もて付屬す。
J17_0005B33: 六。南都の贈僧正藏俊僧都に謁て。法相宗を學せし
J17_0005B34: 時。上人自義を述給に。藏俊。始には貴房の義勢細

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