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J2190 菩提心集 珍海 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J15_0531A01: ば常にもつかはず。しかれば對馬をも。うるはしき
J15_0531A02: をも文字の音を讀むをからと今はいふ。訓に讀ぞ日
J15_0531A03: 本ことばにてはある。しかれば道心と菩提心とは一
J15_0531A04: つ事を二やうにいふなり。されば無上菩提といひ。
J15_0531A05: 無上道といふは同じ事をいふぞかし。其心をいへば
J15_0531A06: 又かはるべからず。凡この文のこころは。よろづを
J15_0531A07: 勸めて菩提の心を發さしめむとなり。これを取りて
J15_0531A08: も讀み。人の讀んをも聞かん人。實の心を發して誹
J15_0531A09: り笑ふ事なかれ。其中に多くは經論に説ける事やん
J15_0531A10: ごとなき人の宣へる言なり。きたなき手にして執り。
J15_0531A11: あなづらはしくすべからず。又一つをことして。十
J15_0531A12: を生くといふ事もあり。只利益を先にせよ。それ菩
J15_0531A13: 薩の心とす。利益に遠き近きあり。顯はなる隱れた
J15_0531A14: る別れたり。今は少し苦をあたへて。後に久しくや
J15_0531A15: すからしめ。顯には苦しむとみえて。かくれたる利
J15_0531A16: 益のあるをば謗るべからず。
J15_0531A17: 菩提心讚今私につくる
J15_0531B18: 文殊師利大聖尊 三世諸佛以爲母
J15_0531B19: 一切如來初發心 皆是文殊敎化力
J15_0531B20: 聞けばわれらが身の内に 眞如佛性そなはれり
J15_0531B21: 大聖文殊のをしへにて 心のはちすを開くべし
J15_0531B22: 善財童子の遊びしも 覺城娑羅の林にて
J15_0531B23: 文殊のをしへを聞てこそ 初めて心はおこいしか
J15_0531B24: 安養下品のはちすにて 觀音大悲の聲を聞き
J15_0531B25: 無上道心おこせるも なほこれ文殊の力なり
J15_0531B26: おもへば生死の海ふかく 煩惱惡業波たかし
J15_0531B27: 泥洹道のかの岸に いかにしてかは到るべき
J15_0531B28: 妙法蓮華の船にのり 精進波羅蜜帆をあげて
J15_0531B29: 妙吉祥尊楫を取り 解脱の風にぞまかすべき
J15_0531B30: 無明住地の長き夜に 妄想顚倒夢ふかし
J15_0531B31: 發心菩提のあかつきを いづれの程とか思ふべき
J15_0531B32: 一念刹那のいさぎよき 心をわづかに發すにぞ
J15_0531B33: 法性眞如の山の端に 毗盧の光りは見え給ふ
J15_0531B34: 金銀瑠璃の寳塔を 恒沙の數まで立なめて

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