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J2190 菩提心集 珍海 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J15_0532A01: 鈴鐸幡蓋かざるとも 終には塵とぞ成ぬべき
J15_0532A02: 無上菩提の心をし 須臾刹那も發せれは
J15_0532A03: 月日かさねて終りには 佛の悟りとなりぬなり
J15_0532A04: 皆人はげみてしばらくも 無上道心おこすべし
J15_0532A05: 此たびはかなく過しなは いづれの時とか思ふべき
J15_0532A06: 無數の劫をは送れとも 佛の御法はききがたし
J15_0532A07: 此世にあへるは淺ましき 浮木の龜とぞおもふべき
J15_0532A08: つらつら思へば誰とても 互ひに恩德あさからず
J15_0532A09: 恩義をしれらん人はみな 萬づの人をぞ救ふべき
J15_0532A10: 五道生死の間には 思ひ捨べき人もなし
J15_0532A11: 鐵城泥犁の底にして 猛火の㷔に身を焦し
J15_0532A12: 阿防羅刹の前に伏し 笞の下にてなきさけぶ
J15_0532A13: 寒氷地獄の谷の底 はげしき氷に閉られて
J15_0532A14: 溫和のあたたかなる空も 寒く悲しきめをぞ見る
J15_0532A15: 飢饉餓鬼の城にして 久しく飮食名もきかず
J15_0532A16: 畜生互爲殘害も おぼろげならねば免れず
J15_0532A17: おほよそ人中天上も 生老病死ぞ充ち滿る
J15_0532B18: これらの多の苦しみを 受るはむかしの親子也
J15_0532B19: いかにも方便めぐらして 生死を度さんと思ふべし
J15_0532B20: われらは底下の身なれども 大悲心をこころとせん
J15_0532B21: 菩提心とはこれをいふ 瞿支がかゐごの鳴ける聲
J15_0532B22: 佛のちかひとこれをいふ 龍子の七日におこす雲
J15_0532B23: 發心畢竟二無別 如是二心先心難
J15_0532B24: 自未得度先度他 是故我禮初發心
J15_0532B25: 願以此功德 普及於一切
J15_0532B26: 我等與衆生 皆共成佛道
J15_0532B27:
J15_0532B28: 大治三年歳次戊申八月六日 沙門珍海書記
J15_0532B29: 文永五年戊辰五月十九日 校合畢

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