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J2190 菩提心集 珍海 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J15_0530A01: し。凡物いたくいふあしき事なり。
J15_0530A02: 問貴とき歌を心すましてうたひ。若は讀み出すは罪
J15_0530A03: か 答歌に三品あるべし。人を戀ひ嘆き。花を弄び
J15_0530A04: などしてよみ歌ふは深き罪なり。只何となくざれて
J15_0530A05: 口をかしき事をいふ。さまでの罪ならず。信心を發
J15_0530A06: して佛をほめ。法をほむる歌は。伽陀を頌じ唄散花
J15_0530A07: しなどすると。但同じ事の國國の風に隨ひて易れる
J15_0530A08: なり。されば全く罪うべきにあらず。
J15_0530A09: 問女身には五の障ふかしといへば。これをいやしむ
J15_0530A10: 程に法華經を聞けば。龍女も佛に成り。藥王品を持
J15_0530A11: ても往生すと説かれたり。されば又厭ふまじきかと
J15_0530A12: 覺ゆ。これをいかにか定むべき 答龍女が佛になり
J15_0530A13: しも變成男子といへば。さながらは佛にならず。藥
J15_0530A14: 王品を持て極樂に生るれど。彼國にて男子と成るも
J15_0530A15: のなり。されば猶いとふべきなり。又涅槃經に云く。
J15_0530A16: よろづの河は皆ゆがみて流れたり。よろづの女は心
J15_0530A17: うるはしからずといへ共。此閻浮提の外に倶耶尼と
J15_0530B18: いふ國にはす繩を引けるやうにうるはしくながれて
J15_0530B19: 海に入れる河あり。女の中にも。慈悲の心あり。戒
J15_0530B20: 行を受持ち。經法を行ふ者ありといへり。而も又有
J15_0530B21: 經には多くの淨土の因縁を明すには。心のうるはし
J15_0530B22: きを初めとせり。されば淨土には海山もなく平かな
J15_0530B23: るぞかし。女の心おほくはうるはしからずと見えた
J15_0530B24: り。淨土を願はば女身をいとふべし。又涅槃經に云
J15_0530B25: く。男子なれども一切衆生の身に佛性ありと知らず。
J15_0530B26: 如來は常住に在すとしらざるはこれ女人也。女なれ
J15_0530B27: ども佛性常住をしれるをばおのことすべしと説給へ
J15_0530B28: り。これにてこころ得べし。いとふべし。又賤しむ
J15_0530B29: まじきは。女人の身なり
J15_0530B30: 問道心といひ。菩提心といふは異なるか同きか 答
J15_0530B31: 同じ事なり。天竺の言には菩提といふ。唐には道と
J15_0530B32: いふ。日本にはみちといふなり。つしまと。からと
J15_0530B33: は。倶にからの言なり。而も對馬は訛れり。わが國
J15_0530B34: にこれを傳へて常に用ひる。うるはしきをも。音を

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