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J2190 菩提心集 珍海 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J15_0529A01: に縁あつくは極樂を願ふべし。彌勒に契ふかくば
J15_0529A02: 兜率を願ふべし。心の引かん方を縁ありとは知るべ
J15_0529A03: きか。各思ひ得んに隨がへ。いづれをも謗るまじ。
J15_0529A04: 又人に隨ひつつ輙く改めざれ。おもひ定めて久しく
J15_0529A05: 行ひてはいかにもさてあるべし。火を鑚にたゆむが
J15_0529A06: ごとくせざれ。
J15_0529A07: 問淨土に生れんにはよろづの行ひを兼ぬべきか 答
J15_0529A08: 本は爾るべけれ共。淺き人は唯一つをよくねんごろ
J15_0529A09: にしてもありなん。それぞよかるべき。野にかかり
J15_0529A10: 山にかかる。由なかるべし。さりとて偏に唯一つを
J15_0529A11: のみせよとにはあらず。よくこころ得べし。
J15_0529A12: 問淨土の果報は。いと妙なるものを。只一つの事に
J15_0529A13: ては。いかが到るべき。遠き道を行かんに。旅路の
J15_0529A14: 物の具をそなへざらんがごとし 答般若經に云。一
J15_0529A15: つの行ひを淨くすれば。すなはちよろづの事をそな
J15_0529A16: ふ。かくのごときの行ひは。一つなれども。淨土に
J15_0529A17: 生るといへり。
J15_0529B18: 問道心ある人をば。いかが知るべき 答内にその心
J15_0529B19: あれども。定めてありと見ん事難し。又其ありさま
J15_0529B20: 佛の敎に契へらんをこそは。大方その相にはせめ。
J15_0529B21: 生しと見えて熟る菓もあれば。實にわきまへ難し。
J15_0529B22: 而も有人語りて云く道心ある人に三つの相なん有
J15_0529B23: る。一には。物最愛がりし心うるはしき。二には。
J15_0529B24: ともすれば心を澄まし涙もろなる。三には。ともす
J15_0529B25: れば。あてそはなとて。世の中の事を事ともせぬ。
J15_0529B26: これらは内に道心ある者の有る事ぞとなん。古き聖
J15_0529B27: は宣ひしと語る。これ淺はかに。事つきぬやうなれ
J15_0529B28: ども。善くをもへばさぞあるかしとなん覺ゆる。
J15_0529B29: 問もの頌じて心ゆかし順の讀經する罪か功德か 答
J15_0529B30: 法を輕むる罪ありなん。されども偏の惡業にはあら
J15_0529B31: ず。而も中中に花だのをびをうたひ。かんなぎの皷
J15_0529B32: を打て佛に奉らんには劣りなんなどどいへば。深き
J15_0529B33: を淺くなすは罪なるべし。惡きを善になさんは。深
J15_0529B34: き心にかなふべしされどもこれらはせでありぬべ

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