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J2190 菩提心集 珍海 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J15_0524A01: みて口によする程に火に成りてもえあがりぬ。目連
J15_0524A02: 尊者かなしひて。佛に申し給ひければ。佛のたまふ
J15_0524A03: やう。七月十五日は。佛歡喜したまひ。僧自恣する
J15_0524A04: 日なり。其日百味飯食の物を鉢に盛りて。衆僧に供
J15_0524A05: 養せば。母の苦みを救ひてんと仰せらる。目連その
J15_0524A06: ままにして。母の苦患を濟ひたり。其をかたぎにて。
J15_0524A07: 此世にもするなり。七月の望の日は。佛の喜びたま
J15_0524A08: ふ日なり。其故はもろもろの僧。安居のつとめを。
J15_0524A09: 四月の十五日に始めて。九十日の程步行かで。をの
J15_0524A10: をの學問おこなひし。戒行つつがなくして居たり。
J15_0524A11: 其つとめ常よりも勵む。七月十五日に日の數足りて。
J15_0524A12: 事なく行ひ得たり。しかれば佛歡び給ふ。衆僧は自
J15_0524A13: 恣といふ行ひして。潔くしてをのをの外外へ去り趣
J15_0524A14: く。年の夏ごとにかくしつつ。數をかさねて數まさ
J15_0524A15: るを上とし。少なきを下にするなり。
J15_0524A16: 問人の子。親の爲に功德造るをば。死に去れる親は
J15_0524A17: 知るや 答知るもあり。しらぬもあり。中有の程本
J15_0524B18: の家にさすらふには見も知るべし。又天上などに往
J15_0524B19: けるは見るべし。又論の中に云。人の親死終りて家
J15_0524B20: の片角に鬼になりて居たり。子ども佛事すれば。生
J15_0524B21: をかへたれどもわが子供の。われを濟はんとて功德
J15_0524B22: を造るよと見歡びて。其心によりて苦みをまぬかる
J15_0524B23: といへり。
J15_0524B24: 問人の法事するに花鬘幡かくるはなんぞ。香花は何
J15_0524B25: の爲にたてまつるぞ。磬は何の故に鳴すぞ。如意香
J15_0524B26: 爐は何の故に取るぞ。錫杖は何なる物ぞや 答花鬘
J15_0524B27: はかふりがたなり。花かづらといふ。幡をば幡とい
J15_0524B28: ふ。これは唐の文字なり。天竺には波多といふ。今
J15_0524B29: の人はたといふは。本の天竺の名を呼ぶなり。天竺
J15_0524B30: には御門の居所などに。此幡を懸て莊れり。今佛を
J15_0524B31: あがむるには。事毎に大王のごとに准へてかれを用
J15_0524B32: る。然も物の形は皆由あり。幡のかたちいと恠しく
J15_0524B33: 意も得ず。今これを思ふに鳥の形なるべし。先の尖
J15_0524B34: れるは觜なり。つぎつぎのつぼは身なり。手は羽。

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