浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J15_0523A01: | 罪とやすべき 答ありさまに隨ふべし。偏にわれに |
J15_0523A02: | かかりたる親ならば出家入道すとも親を離るべから |
J15_0523A03: | ず。いかにも遠く去らで養ふべし。若われ離れたり共 |
J15_0523A04: | 有ぬべくは。只死なばさてこそあらめとおもひなし |
J15_0523A05: | て戀ひ慕はんをばかへり見るべからず。爾れば恩を |
J15_0523A06: | 棄て無爲佛の道なりに入る實に恩を報ゆる者なりといふ。 |
J15_0523A07: | 爾り共夏冬は山寺に住て行ひ。春秋は家にかへりて |
J15_0523A08: | 親につかへよと佛ゆるい給へり。又法を説き聞かせ |
J15_0523A09: | 道心を勸めば目出たき報ひなり。又外ながらも功德 |
J15_0523A10: | 善根を行ひて親を祈るべし。又さして祈らずとも。只 |
J15_0523A11: | 行ひ居たるに。自親の爲の功德と成るよしもあなれ |
J15_0523A12: | ば。親を離るとも善くだにも行なはば恩を報ゆるに |
J15_0523A13: | なりなん。經に云。辟支佛の聖。百億人を供養せんよ |
J15_0523A14: | りも。佛の御法して此世の父母を度さんは勝れりと |
J15_0523A15: | いふ。阿那律尊者と申す羅漢は。むかし貧しき人に |
J15_0523A16: | て。今食んとする粥のなごりもなきを辟支佛の來り |
J15_0523A17: | 乞ふに供養し奉りたりし故に釋迦の御弟子と成羅漢 |
J15_0523B18: | の道を得たり。これにて比らべ知るべきなり。然れば |
J15_0523B19: | 偏へに出家せんことを口惜と思ふまじ。いとしもな |
J15_0523B20: | くて迷ひありかば。從ひて仕はれ養はんにはしかじ。 |
J15_0523B21: | 問人の子の出家入道せんに親おしみ妨げば止るべし |
J15_0523B22: | や。若まことの報恩ぞとて押してすべしや 答佛の |
J15_0523B23: | 世に人の子。親に暇も乞はで出家しあひたりしかば。 |
J15_0523B24: | 親ども淨飯王にうれへ申しけり。淨飯王聞き給ひて。 |
J15_0523B25: | わが太子の出家し給ひしをり惜く悲しかりき。人も |
J15_0523B26: | さぞ思ふらんとて佛に申し給ひければ佛それより親 |
J15_0523B27: | のゆるし蒙らざらん人には。出家を許すまじと定め |
J15_0523B28: | たまひてき。しかもその親つつみて出家を妨げざれ。 |
J15_0523B29: | 問人の子。なき親の爲に七月十五日盆供といふ事す |
J15_0523B30: | るは。いかなる事ぞ 答目連尊者の始て得道の聖と |
J15_0523B31: | 成て。うせ去りにし母の在り處を求むるに。餓鬼の中 |
J15_0523B32: | に生れて飢せまり。骨皮のかぎりにて居たるを見て。 |
J15_0523B33: | 鉢に食ひ物を盛りて食せ給ふ。かれ取りて食はんと |
J15_0523B34: | する時に左の手を打おほひて。右の手して飯をつか |