ウィンドウを閉じる

J2190 菩提心集 珍海 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J15_0523A01: 罪とやすべき 答ありさまに隨ふべし。偏にわれに
J15_0523A02: かかりたる親ならば出家入道すとも親を離るべから
J15_0523A03: ず。いかにも遠く去らで養ふべし。若われ離れたり共
J15_0523A04: 有ぬべくは。只死なばさてこそあらめとおもひなし
J15_0523A05: て戀ひ慕はんをばかへり見るべからず。爾れば恩を
J15_0523A06: 棄て無爲佛の道なりに入る實に恩を報ゆる者なりといふ。
J15_0523A07: 爾り共夏冬は山寺に住て行ひ。春秋は家にかへりて
J15_0523A08: 親につかへよと佛ゆるい給へり。又法を説き聞かせ
J15_0523A09: 道心を勸めば目出たき報ひなり。又外ながらも功德
J15_0523A10: 善根を行ひて親を祈るべし。又さして祈らずとも。只
J15_0523A11: 行ひ居たるに。自親の爲の功德と成るよしもあなれ
J15_0523A12: ば。親を離るとも善くだにも行なはば恩を報ゆるに
J15_0523A13: なりなん。經に云。辟支佛の聖。百億人を供養せんよ
J15_0523A14: りも。佛の御法して此世の父母を度さんは勝れりと
J15_0523A15: いふ。阿那律尊者と申す羅漢は。むかし貧しき人に
J15_0523A16: て。今食んとする粥のなごりもなきを辟支佛の來り
J15_0523A17: 乞ふに供養し奉りたりし故に釋迦の御弟子と成羅漢
J15_0523B18: の道を得たり。これにて比らべ知るべきなり。然れば
J15_0523B19: 偏へに出家せんことを口惜と思ふまじ。いとしもな
J15_0523B20: くて迷ひありかば。從ひて仕はれ養はんにはしかじ。
J15_0523B21: 問人の子の出家入道せんに親おしみ妨げば止るべし
J15_0523B22: や。若まことの報恩ぞとて押してすべしや 答佛の
J15_0523B23: 世に人の子。親に暇も乞はで出家しあひたりしかば。
J15_0523B24: 親ども淨飯王にうれへ申しけり。淨飯王聞き給ひて。
J15_0523B25: わが太子の出家し給ひしをり惜く悲しかりき。人も
J15_0523B26: さぞ思ふらんとて佛に申し給ひければ佛それより親
J15_0523B27: のゆるし蒙らざらん人には。出家を許すまじと定め
J15_0523B28: たまひてき。しかもその親つつみて出家を妨げざれ。
J15_0523B29: 問人の子。なき親の爲に七月十五日盆供といふ事す
J15_0523B30: るは。いかなる事ぞ 答目連尊者の始て得道の聖と
J15_0523B31: 成て。うせ去りにし母の在り處を求むるに。餓鬼の中
J15_0523B32: に生れて飢せまり。骨皮のかぎりにて居たるを見て。
J15_0523B33: 鉢に食ひ物を盛りて食せ給ふ。かれ取りて食はんと
J15_0523B34: する時に左の手を打おほひて。右の手して飯をつか

ウィンドウを閉じる