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J2190 菩提心集 珍海 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J15_0519A01: り。有る氷の地獄には人生れて初め最ことも覺らで
J15_0519A02: 居り。そらに閻魔王形を現して。これは氷の地獄な
J15_0519A03: りといひかけて失ぬ。それ心細く悲しき事か。
J15_0519A04: 問たれか善惡をは細かに知るぞ 答倶生神といふも
J15_0519A05: の注してかの王に授く。倶生神に二たりあり。一り
J15_0519A06: をば同名と名く。人の左の肩の上に在りて善業を注
J15_0519A07: す。一りをは同生と名づく。右の肩に在りて惡業を
J15_0519A08: 注すと説けり。
J15_0519A09: 問いかに善惡を定むる 答業の籍を業の秤に掛るに
J15_0519A10: 重き輕きを見て。はかり定むるなり。むかし法花經二
J15_0519A11: 卷ばかりを讀めりける人。夏六月に病をうけて二日
J15_0519A12: を經て死ぬ。六日を經るまで胸前あたたまれり。七日
J15_0519A13: といふに蘇りて語りたる。物にからめられて閻魔王
J15_0519A14: の前に至る。王の云く。汝いけりし時。なんの功德か
J15_0519A15: ありし。答へて云く。但法花經二卷を讀めりし。さら
J15_0519A16: では功德もなしといふ王之を聞て。罪の籍と經二卷
J15_0519A17: とを業の秤にかけて見るに經二卷は重かりければ。
J15_0519B18: 王籍をかんがへて。この人は九十年は生るべかりけ
J15_0519B19: るものを。使のあやまてるなりとて免し歸せりと慥
J15_0519B20: かなる文にいへり。又業の鏡といふ物あり。罪人に見
J15_0519B21: すれは。前の世の擧動あきらかに移れり。しかれば敢
J15_0519B22: てあらがふ道もなしと聖敎の文に説けり。又死せる
J15_0519B23: 人の爲に四十九日の法事をいとなみ年月に隨ひて忌
J15_0519B24: 日しなどするには。かの人其むくひにて罪をまぬか
J15_0519B25: るや 答經に云く。死する人中有の旅にして。形おさ
J15_0519B26: なき兒のごとくにて罪福いまだ定らず。人その爲に
J15_0519B27: 幡を懸け火を燃し經をよめば三途八難を遁れて淨土
J15_0519B28: に往生せしむ。又惡道に定れる人は其功德を七分に
J15_0519B29: わけて一つを得。生りし時善を信ぜざりしかばなり
J15_0519B30: といへり。爾れば善を信ぜらん人ならば皆も得べし。
J15_0519B31: 又云く死ねる人の具足を三寳にたてまつれば。福も
J15_0519B32: つとも強して。地獄をまぬかるべしといふ。又寳篋印
J15_0519B33: 陀羅尼を七遍。うせたる父母の爲に讀めはかならず
J15_0519B34: 地獄の苦を救ふと説けり。其陀羅尼をは塔を造りて

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