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J2190 菩提心集 珍海 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J15_0518A01: 意珠王の中より八功德の水を出せり。散る花路を失
J15_0518A02: なへども人天步みてまどはず。光り夜晝なけれども
J15_0518A03: 水鳥さへづり志づまれり。宮殿王を瑩きしらべたり。
J15_0518A04: 忍辱の衣の袖には。戒香の燒物匂ひを移し法喜の鉢
J15_0518A05: の内には禪悅の味ひ露を含めり。天人聖衆の心の中
J15_0518A06: に勞ふ事なし。九品往生の輩。喜べどもまた貪ぼら
J15_0518A07: ず。蓮の濁りにしまず。小鳥の植木に傳ふか如し。
J15_0518A08: 願ふ所は菩提の寶物。憐む者は衆生のひとり子也。
J15_0518A09: 壽は極りなけれども悲願の故には捨も去りぬ。又神
J15_0518A10: 通は恣きままなれども有縁の前には引き止められ
J15_0518A11: ぬ。煩惱を斷ざる人も一念のまどひを起さず。生死
J15_0518A12: を離れぬ人も。五道の里をば去り別れたり。凡夫の
J15_0518A13: 身ながらも佛に同しく。有漏のさかひをも無爲のご
J15_0518A14: とくにせり。かかれば彼に往んと思はば菩提の心を
J15_0518A15: 發せといふなり。
J15_0518A16: 文永五年戊辰五月十二日校合畢
J15_0518A17:
J15_0518B18: 菩提心集下
J15_0518B19:
J15_0518B20: 珍 海 已 講 述
J15_0518B21:
J15_0518B22: 問聞く閻魔法王といふ鬼の君いまして。世の人の善
J15_0518B23: 惡を斷り定むなりと。然らば極樂に生るる人をもや
J15_0518B24: 彼に定むる 答有る人かの國より還り來て語りけ
J15_0518B25: り。閻魔の宮の僧の像を書て懸たり。こは誰れ人ぞ
J15_0518B26: と問ひつれば。これは智覺禪師といふ人なり。この
J15_0518B27: 人此世の沙汰にかからず。これは上品上生にうまれ
J15_0518B28: たる人なり。これ世に絶たる事なれは。その像を見
J15_0518B29: 知らんとて寫さしめて置けるなりとなん。答へつる
J15_0518B30: となんいひけり。爾れは往生の人にとりて閻魔の定
J15_0518B31: めに入らぬは希なるべし。然かも生るるばかりの人
J15_0518B32: は多くは我身みづからかの定めの庭に出る事はある
J15_0518B33: まし。但罪の注し文に其名の入たるならん。
J15_0518B34: 問罪人は其庭に出て定めを蒙る歟 答定めを見聞く
J15_0518B35: は。よろしき時の事なり。やがて地獄へ入る者もあ

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