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J2190 菩提心集 珍海 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J15_0517A01: る道。すみやかに菩提を取る事生を隔てず。久しく
J15_0517A02: 生死に止まりて多くのくるしみを受べきに。思ひも
J15_0517A03: かけぬ悲願に逢ひて。五道生死を離れなんづるを。
J15_0517A04: 菩提心の人ごとにおもひ止まらるるいかんぞ。たと
J15_0517A05: ひ發しがたくとも勵みてこそ發さんとおもふべけ
J15_0517A06: れ。況や菩提心のありさま向に明しをわりにき。中
J15_0517A07: にも涅槃經の力には。一切衆生に佛性あり。如來は
J15_0517A08: 常住にましますと。一たびも耳にふれつれば。聲の
J15_0517A09: 光り身の内に入りてかならず菩提心を發さしむ。た
J15_0517A10: とひこれを謗りて心を發さじとすまふ人あるには。
J15_0517A11: 文に羅刹の畏しき形を見せて道心を發さずは。取り
J15_0517A12: 食ひてんといふ。これに驚き怖て菩提心を發すとい
J15_0517A13: へり。すまふすら爾り。況や願はん者をや。又菩提
J15_0517A14: 心を發さんと願はば文殊に祈るべし三世の佛の發心
J15_0517A15: の初め皆文殊により給ふ。知べし普賢は菩薩の行ひ。
J15_0517A16: とぢめ究む。文殊は菩提の心を發し初めしむ。法花
J15_0517A17: 經にもしかれば始めをば文殊のひらいたまひ。終り
J15_0517B18: をば普賢のとぢめ給ふ。此こころなり。今菩提の心
J15_0517B19: を願はば文殊にいのるべし。
J15_0517B20: 問ことの次なれば問ひあらわさん。普賢文殊は一つ
J15_0517B21: がひにこそ申せ。聞くが如きならば。普賢文殊一つ
J15_0517B22: 口に申すべからず 答發心畢竟二無別。如是二心先
J15_0517B23: 心難といふ。初めの難き事まことに知り易し。きは
J15_0517B24: むる事をほめんに又それ明かなり。然れば二りの菩
J15_0517B25: 薩はとりどりの事。いへばひとしきなり。
J15_0517B26: 問此事を聞くになを先の疑ひにかへりぬ。發心畢竟
J15_0517B27: の中に發心は難さか。なれは易しといふ事又やぶれ
J15_0517B28: ぬ 答發心の難きは文殊に逢ひ難ければなり。文殊
J15_0517B29: に遇ふ事を得つれば。發心は易かるべし。
J15_0517B30: 問極樂はいかばかりの處なれば。かならす菩提心を
J15_0517B31: 發して生るるぞ 答彼の樂みは菩提の樂みに近づけ
J15_0517B32: り。佛淨土の樂を構へて菩提に進むる端とし給へり。
J15_0517B33: 爾れば必菩提心を本として往生すとはいふなり。凡
J15_0517B34: かの國は。金剛の寳幢ありて瑠璃の大地をささげ如

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