浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J15_0516A01: | 答凡夫の意ばえ皆かくのごとし。さながらも大方に |
J15_0516A02: | 趣きぬれば。往かずといふ事なし。但し疑ひなけれ |
J15_0516A03: | ば花開け。疑ひあれば花開けずと龍樹菩薩のたまへ |
J15_0516A04: | り。經にもうたがひある者は。母の腹にやどりて久 |
J15_0516A05: | し。かの國にて蓮の花を母とす。其人花の内にては。 |
J15_0516A06: | 宮殿と思ひて遊ぶ。されど佛を見ねば。かの國の人 |
J15_0516A07: | これを見ては腹の内にやどれりといふ。 |
J15_0516A08: | 問往生の緩く勤め懈りやするらん人は。得生れすや |
J15_0516A09: | 答經に云く。極樂の道に懈慢國といふ處あり。往 |
J15_0516A10: | 生の心ゆるやかなる者は。かの國の樂みを見て止ま |
J15_0516A11: | りぬといへり。其國極樂には及ばねど樂しき處なり。 |
J15_0516A12: | 佛はましまさず。然も彼人物の命を殺さずして。人 |
J15_0516A13: | にも其功德を敎ふ。これに依て後に極樂に生るる事 |
J15_0516A14: | を得る也。 |
J15_0516A15: | 問極樂にまいる事は。菩提心を發せる者のみ歟發さ |
J15_0516A16: | ねど但彼國を願へば生るる者もある歟 答大師達の |
J15_0516A17: | たまわく。かならず一時も心ひろき無上菩提の心を |
J15_0516B18: | 發して生ると。然れば菩提心を發さぬ人は生るべか |
J15_0516B19: | らず。 |
J15_0516B20: | 問中品三生の人は。彼にて阿羅漢となる。無上菩提 |
J15_0516B21: | の廣き心を發しては。彼にて心狹き道には入るべか |
J15_0516B22: | らず。又下品三生の人は。彼にして花發くる時に。 |
J15_0516B23: | 無上菩提の心を發す。しかれば此世にて又發さぬ人 |
J15_0516B24: | なれば彼にては發すなるべし 答觀經の九品には發 |
J15_0516B25: | すといひ殘したる者もあれども。今一つの經には。中 |
J15_0516B26: | 品にも下品にも皆菩提の心を發して後生ると説り。 |
J15_0516B27: | 其を見給ひて大師もかならずとは宣へるなり。然も |
J15_0516B28: | 中品の人は。暫く羅漢と成りて後には佛に成る。然 |
J15_0516B29: | れば菩提の心を發して生れたれども違ふ事なし。下 |
J15_0516B30: | 品の人ここにて菩提の心を發せれども。めづらしく |
J15_0516B31: | 彼國にて。いみじく妙なる事を聞けば本の心よりも |
J15_0516B32: | 悟りの進み昇るを。重ねて發すといふなり。 |
J15_0516B33: | 問その初の心發し難し。かならず其心によらばいよ |
J15_0516B34: | いよ往生はかなひ難き事歟 答往生は苦しみを離る |