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J2190 菩提心集 珍海 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J15_0516A01: 答凡夫の意ばえ皆かくのごとし。さながらも大方に
J15_0516A02: 趣きぬれば。往かずといふ事なし。但し疑ひなけれ
J15_0516A03: ば花開け。疑ひあれば花開けずと龍樹菩薩のたまへ
J15_0516A04: り。經にもうたがひある者は。母の腹にやどりて久
J15_0516A05: し。かの國にて蓮の花を母とす。其人花の内にては。
J15_0516A06: 宮殿と思ひて遊ぶ。されど佛を見ねば。かの國の人
J15_0516A07: これを見ては腹の内にやどれりといふ。
J15_0516A08: 問往生の緩く勤め懈りやするらん人は。得生れすや
J15_0516A09: 答經に云く。極樂の道に懈慢國といふ處あり。往
J15_0516A10: 生の心ゆるやかなる者は。かの國の樂みを見て止ま
J15_0516A11: りぬといへり。其國極樂には及ばねど樂しき處なり。
J15_0516A12: 佛はましまさず。然も彼人物の命を殺さずして。人
J15_0516A13: にも其功德を敎ふ。これに依て後に極樂に生るる事
J15_0516A14: を得る也。
J15_0516A15: 問極樂にまいる事は。菩提心を發せる者のみ歟發さ
J15_0516A16: ねど但彼國を願へば生るる者もある歟 答大師達の
J15_0516A17: たまわく。かならず一時も心ひろき無上菩提の心を
J15_0516B18: 發して生ると。然れば菩提心を發さぬ人は生るべか
J15_0516B19: らず。
J15_0516B20: 問中品三生の人は。彼にて阿羅漢となる。無上菩提
J15_0516B21: の廣き心を發しては。彼にて心狹き道には入るべか
J15_0516B22: らず。又下品三生の人は。彼にして花發くる時に。
J15_0516B23: 無上菩提の心を發す。しかれば此世にて又發さぬ人
J15_0516B24: なれば彼にては發すなるべし 答觀經の九品には發
J15_0516B25: すといひ殘したる者もあれども。今一つの經には。中
J15_0516B26: 品にも下品にも皆菩提の心を發して後生ると説り。
J15_0516B27: 其を見給ひて大師もかならずとは宣へるなり。然も
J15_0516B28: 中品の人は。暫く羅漢と成りて後には佛に成る。然
J15_0516B29: れば菩提の心を發して生れたれども違ふ事なし。下
J15_0516B30: 品の人ここにて菩提の心を發せれども。めづらしく
J15_0516B31: 彼國にて。いみじく妙なる事を聞けば本の心よりも
J15_0516B32: 悟りの進み昇るを。重ねて發すといふなり。
J15_0516B33: 問その初の心發し難し。かならず其心によらばいよ
J15_0516B34: いよ往生はかなひ難き事歟 答往生は苦しみを離る

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