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J2190 菩提心集 珍海 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J15_0515A01: を念ぜよ。經に極樂を願ふともいまだ定まらざらん
J15_0515A02: に。藥師の御名を聞かば八人の菩薩をつかはして道
J15_0515A03: を示さんといひ。又これ佛の深き境界なり。思議す
J15_0515A04: べからずといへり。又方等陀羅尼經を書け。又惠心
J15_0515A05: 僧都は丈六の佛を造るをぞ。決定往生の業とはのた
J15_0515A06: まひける。
J15_0515A07: 問天王寺の西門の念佛は尤すべき事か何にぞや。答
J15_0515A08: 尤すべき事なり 問ただ閑かならん處にて西に向て
J15_0515A09: 念佛せば何れの所なり共さてありぬべし。あながち
J15_0515A10: にえりくり參りたりとて何事かは有べき。貴き寺。
J15_0515A11: 止ごとなき聖の跡其數あり。天王寺の西門ならんか
J15_0515A12: らにかならず念佛の處にてあるべきかは。若太子の
J15_0515A13: 御跡をいはば法隆寺橘寺も同じ事にはあらずや 答
J15_0515A14: 太子の御跡いづくよりも芳ばし。わが家は西方にあ
J15_0515A15: りと宣へる救世觀音出おはしまして佛を始め行ひ給
J15_0515A16: へり。爾る聖の御跡をだにも尋ずしては。いづこか
J15_0515A17: 求むべきや。太子の御跡の中にも天王寺これ異なる
J15_0515B18: 處也。御手の璽し給へる縁起の文に寳塔金堂は極樂
J15_0515B19: の東門の最中にあたれりと記されたり。しかれば東
J15_0515B20: 門に向はんとて西門へ參ることはりなり。
J15_0515B21: 問極樂は廣き國。佛大きに人いやしからず。其東門
J15_0515B22: はかならず天王寺一つにや當らんずる。又かの國の
J15_0515B23: 東の門唯ひとつのみやはあるべき。此大宮だにも十
J15_0515B24: 二の門を開ける者をや 答極樂いまだ見ぬ處。但聖
J15_0515B25: の御言によるべし。さしりありがほに箇樣の事いふ
J15_0515B26: もいとしもなき事なり。しかれば國ひろけれとも東
J15_0515B27: 門はせばくもあらん。門はおほかれども此國の人の
J15_0515B28: 入るは一つにてもあらむ。然れば天王寺の西門を出
J15_0515B29: て極樂界の東門に入んに直く向ひて行けば往生の正
J15_0515B30: しき道とすべし。これ想ひを勸むる道なり。又外な
J15_0515B31: り共想ひをすすめば足りぬべし。
J15_0515B32: 問我等佛を念ずる共明かに覺ゆる事なし。わざと疑
J15_0515B33: ひ謗る事はなけれど。身をかへり見れば。 かなひが
J15_0515B34: たし。かく思ふ思ふ念佛せんは徒事にやなるべき

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