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J2190 菩提心集 珍海 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J15_0504A01: 問この世の人は何なる行をしてか生死を速かにはな
J15_0504A02: るべき。答大乘經の中に速かに生死を離るる事おほ
J15_0504A03: く見えたり。しかも此世に於て最いたれる要を取ら
J15_0504A04: ば念佛の門に入るべし。法照禪師といふ人淸凉山に
J15_0504A05: 登りて大聖竹林寺といふ寺の門口に到れり。常の人
J15_0504A06: になべて見ゆる處にあらず。そこに二りの童子出で
J15_0504A07: 來れり。一りは善財と名のり。一りは難陀と名のる。
J15_0504A08: 其二りの童法照を道引て寺の内へ入れつ。徐く講堂
J15_0504A09: にまいり臨みて見れば。普賢菩薩無數の眷屬に圍繞
J15_0504A10: せられておはしまし。文殊師利一萬の菩薩にうやま
J15_0504A11: はれておはします。法照恭み敬ひて文殊に問奉る。代
J15_0504A12: の末の人は何なる行ひを專にすべきと。文殊の曰末
J15_0504A13: 世の衆生は唯念佛を專にすべし。謂く西方の阿彌陀
J15_0504A14: を念じ奉れとのたまへり。今のことに隨ふべし。
J15_0504A15: 問此世の人は念佛ばかりにて經を讀み布施を行ずべ
J15_0504A16: からずや答念佛をもはらにせよといは。念佛をむね
J15_0504A17: として異行をはこれによせよとなり。帝の幸といふ
J15_0504B18: に百官みな從ふが如し。念佛を君として經をよみて
J15_0504B19: も念佛を進め助け。布施持戒をも念佛の道に入れよ
J15_0504B20: と也。
J15_0504B21: 問何かやうにか念佛をばすべき。答知べし念といは
J15_0504B22: 思ふ也おもひ意にあり。然も思ひをなすに由あるべ
J15_0504B23: し。廣くこれをいはん。或は身に禮拜をなす。謂く
J15_0504B24: 西にむかいて遙かに拜み若は彌陀の形像にちかづき
J15_0504B25: てぬかづく。或は口に御名を稱へて功德利益を嘆め
J15_0504B26: 奉る。此身口の業をも念佛にかぞふ。念より起るが
J15_0504B27: 故に。念を起したすくるが故に。念と同じく往生の
J15_0504B28: 業にそなはれば念佛といふ。然も心に色相光明を念
J15_0504B29: じ。本願大悲を念じ。或は唯御名をおもひ。或はお
J15_0504B30: ほよすに隨ひ仰ぐ。又菩薩聲聞の大衆を稱念し。宮
J15_0504B31: 殿寳池の莊嚴を讚歎する皆念佛の内也。又經を讀て
J15_0504B32: も布施を行じても。功德善根は皆往生淨土の因縁と
J15_0504B33: 思へば淨土を念ずる也。淨土を念ずるは彌陀を念ず
J15_0504B34: る也。況や佛に法身の功德あり。經法はすなはち是

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