ウィンドウを閉じる

J2190 菩提心集 珍海 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J15_0503A01: 聞ずや大乘經を信ずるは衆罪をほろぼす。佛を念じ
J15_0503A02: 奉れば惡業を消すといふ事をば知るべし。佛法の淸
J15_0503A03: き水に生死の垢を洗ふ時には初に惡道の大なる垢を
J15_0503A04: おとして後に人天の少しの垢を淸む。そののち無量
J15_0503A05: の功德の色には染めなす者なり。しかれば三寳の利
J15_0503A06: 益をかうふる手はじめには先惡道をまぬかるる理あ
J15_0503A07: きらけし佛法に信をそなふるに二あり。一には提婆
J15_0503A08: 達多實に惡人にあらずと信ず。二には如來常住にし
J15_0503A09: て滅度し給はずと信ずるなり。異一切の法を信ずと
J15_0503A10: も。この二の事を信ぜざれば信不具足と云て信心滿
J15_0503A11: たずこれを信ずる時始て具足の信といふ。かかれば
J15_0503A12: 法花には聞妙法華經提婆達多品淨心信敬不生疑
J15_0503A13: 惑者不墮地獄餓鬼畜生といひ。涅槃には若有
J15_0503A14: 得聞如是大乘微妙經典生信敬心當知是等
J15_0503A15: 於未來世百千億劫不墮惡道といへり。又阿彌
J15_0503A16: 陀を念じ奉れば念念の中に八十億の生死の罪を消す
J15_0503A17: と説き。文殊の形像を見る者は惡道に墮ちず。其御
J15_0503B18: 名をたもてば縱ひ重き障あれ共地獄におちずと説け
J15_0503B19: り。又佛の形像を造り供養する者は。かならず惡道
J15_0503B20: におちず。唯し逆罪を造れる者をば除く。若逆罪の
J15_0503B21: 人の佛を造れるは。地獄に墮たれ共。須臾に出る事
J15_0503B22: 植木の本にして仰ひで木の葉を射るに其矢しばらく
J15_0503B23: ととこほらざるが如く(とりはこえての)おちてすな
J15_0503B24: はちおどりあがるが如し。これを信ぜん人は前きを
J15_0503B25: あらため。後を愼みて佛經のままに懺悔して惡道を
J15_0503B26: まぬかれなん。實に罪は種のごとし。角ぐみ莖立ち
J15_0503B27: 枝葉さしひろがり。花さき實る事疑ひなし。されど
J15_0503B28: も水にあはたされ火にこがれぬれば同じ種と見えい
J15_0503B29: くばくの事なけれ共永く生ひ出ることなきまたこと
J15_0503B30: はりなり。因果の理みなかくの如し。業力のいきを
J15_0503B31: ひは大きなれ共懺悔の火に焦れ慚愧の水にあはたさ
J15_0503B32: れぬれば。其業には永く果報の生ひ出るなし。又一
J15_0503B33: つの戒をたもち一盛の物を施しても深く惡道を離れ
J15_0503B34: んと願ひて即ながく離るる人ありといへり。

ウィンドウを閉じる