浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J15_0503A01: | 聞ずや大乘經を信ずるは衆罪をほろぼす。佛を念じ |
J15_0503A02: | 奉れば惡業を消すといふ事をば知るべし。佛法の淸 |
J15_0503A03: | き水に生死の垢を洗ふ時には初に惡道の大なる垢を |
J15_0503A04: | おとして後に人天の少しの垢を淸む。そののち無量 |
J15_0503A05: | の功德の色には染めなす者なり。しかれば三寳の利 |
J15_0503A06: | 益をかうふる手はじめには先惡道をまぬかるる理あ |
J15_0503A07: | きらけし佛法に信をそなふるに二あり。一には提婆 |
J15_0503A08: | 達多實に惡人にあらずと信ず。二には如來常住にし |
J15_0503A09: | て滅度し給はずと信ずるなり。異一切の法を信ずと |
J15_0503A10: | も。この二の事を信ぜざれば信不具足と云て信心滿 |
J15_0503A11: | たずこれを信ずる時始て具足の信といふ。かかれば |
J15_0503A12: | 法花には聞妙法華經提婆達多品淨心信敬不生疑 |
J15_0503A13: | 惑者不墮地獄餓鬼畜生といひ。涅槃には若有 |
J15_0503A14: | 得聞如是大乘微妙經典生信敬心當知是等 |
J15_0503A15: | 於未來世百千億劫不墮惡道といへり。又阿彌 |
J15_0503A16: | 陀を念じ奉れば念念の中に八十億の生死の罪を消す |
J15_0503A17: | と説き。文殊の形像を見る者は惡道に墮ちず。其御 |
J15_0503B18: | 名をたもてば縱ひ重き障あれ共地獄におちずと説け |
J15_0503B19: | り。又佛の形像を造り供養する者は。かならず惡道 |
J15_0503B20: | におちず。唯し逆罪を造れる者をば除く。若逆罪の |
J15_0503B21: | 人の佛を造れるは。地獄に墮たれ共。須臾に出る事 |
J15_0503B22: | 植木の本にして仰ひで木の葉を射るに其矢しばらく |
J15_0503B23: | ととこほらざるが如く(とりはこえての)おちてすな |
J15_0503B24: | はちおどりあがるが如し。これを信ぜん人は前きを |
J15_0503B25: | あらため。後を愼みて佛經のままに懺悔して惡道を |
J15_0503B26: | まぬかれなん。實に罪は種のごとし。角ぐみ莖立ち |
J15_0503B27: | 枝葉さしひろがり。花さき實る事疑ひなし。されど |
J15_0503B28: | も水にあはたされ火にこがれぬれば同じ種と見えい |
J15_0503B29: | くばくの事なけれ共永く生ひ出ることなきまたこと |
J15_0503B30: | はりなり。因果の理みなかくの如し。業力のいきを |
J15_0503B31: | ひは大きなれ共懺悔の火に焦れ慚愧の水にあはたさ |
J15_0503B32: | れぬれば。其業には永く果報の生ひ出るなし。又一 |
J15_0503B33: | つの戒をたもち一盛の物を施しても深く惡道を離れ |
J15_0503B34: | んと願ひて即ながく離るる人ありといへり。 |