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J2190 菩提心集 珍海 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J15_0505A01: なり。佛に所作の利益あり。説法敎化これなり。こ
J15_0505A02: れを念佛といふ。皆往生の業因也。故に淨影大師の
J15_0505A03: 曰或は念じ或は禮し。或は讃め奉り或は其名を稱す
J15_0505A04: る者悉く往生することを得と。
J15_0505A05: 問禮拜のありさま委しく承らん答五體を地にいた
J15_0505A06: す。謂く二の手二の膝及び頭これなり。ぬかとは額
J15_0505A07: の名なり。額を地にあつればぬかづくといふ。數は
J15_0505A08: いくつと定まらず。されども龍樹の禮によらば十二
J15_0505A09: を數とすべし。或はひざまづきて掌を合せ。或は居
J15_0505A10: ながら手をつかね。或は立ながら片手を擧る皆拜む
J15_0505A11: うちなり。むかし耆婆大臣天に生れて後。とふ車に
J15_0505A12: 乘りて行に路に目連尊者おはし逢ひたりしに。車に
J15_0505A13: 乘ながら片手を捧げたりき。これを下品の禮といふ。
J15_0505A14: 法華經に乃至擧一手といふは是なり。念佛の人はい
J15_0505A15: かにも心を專にすべし。又口に稽首といひ頂禮とい
J15_0505A16: はんも口業なれ共亦禮拜に入りぬ。又心に禮拜と思
J15_0505A17: へば禮拜をそなふ。又數珠をめぐらし。舌の端を動か
J15_0505B18: すも身業の禮拜におさむべし。異事をもこれに准へ
J15_0505B19: てよく意得べし。
J15_0505B20: 問口業の稱讃また細しくうけたまはらん 答南無大
J15_0505B21: 悲阿彌陀佛とも南無阿彌陀佛とも大悲阿彌陀佛とも
J15_0505B22: 阿彌陀佛ともまうす。これを稱名といふ。南無とは歸
J15_0505B23: 命する心なり。多の義をこめたれど大旨歸命なり。歸
J15_0505B24: 命とはわが身を彌陀に寄せ放ちつるなり。阿彌陀と
J15_0505B25: は無量なり。佛は覺なり。しかれば經には無量覺と
J15_0505B26: もいへり。無量とは光明も壽命も無量なればこめて
J15_0505B27: 無量といふなり。いそぎていへばなまみだぶといは
J15_0505B28: る。はやくいへば聞なさるるぞと思ひしか共。うるは
J15_0505B29: しき詞もかくうつる事ありけり。文字かへすとてか
J15_0505B30: く囀りなすことあり。それも本の言をうしなはずた
J15_0505B31: がふ事なし。南無阿といふ程に毛阿の二文字はやく
J15_0505B32: て摩のこゑになる。佛のことばいひはてられずして
J15_0505B33: 初のこゑにてやむなり。あまりにはやくいへば彌は
J15_0505B34: 又牟のこゑに囀らる。上みに南摩といひつれば彌の

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