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J1420 和語灯録日講私記 義山・素中 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0744A01: 十聲にてもあれ業事成辨はひとしき故に功德の勝劣
J09_0744A02: は無き也皆同じ淨土に往生す喩へは五條の橋より眞
J09_0744A03: 如堂まで駕籠を借るに四十錢五十錢をやるも有り六
J09_0744A04: 十錢七十錢をやるもあり至つてやすきは二十三十
J09_0744A05: 乃至十錢をやるもあるべし駕籠の賃に不同は有りと
J09_0744A06: も落付處は同じ眞如堂なり扨其の業事成辨と云ふは
J09_0744A07: 何なることそと云ふに喩へは物を買ふに此の價値に
J09_0744A08: て賣る歟不賣歟と云ふか如し其の物は一文にて賣
J09_0744A09: ると云へは錢一文持ては買ふこと成就する也又其の
J09_0744A10: 物は一文にて賣るがいや三文で無けれはならぬと
J09_0744A11: 云ふ時錢三文持てば買ふこと成就す是を業事成辨す
J09_0744A12: ると云也念佛の業事成辨も亦然なり扨業事成辨に何
J09_0744A13: とて數を定めぬものそ十聲ならは十聲と定まるへき
J09_0744A14: ものそと云ふに數を定むる時は機をもらす失あり十
J09_0744A15: 錢でうる極樂と定むるときは九文持つ者は買ふ事
J09_0744A16: ならず若し九念にて息の絶ゆる者は彼の極樂をかは
J09_0744A17: ずして異處に生す此の故に人人の業成不定なれは一
J09_0744B18: 聲乃至十聲にて皆得生す數の定まらぬか還つて佛力
J09_0744B19: の難思也されは五念三念でもあれ息の止まる處か即
J09_0744B20: ち業事成辨也人は皆念佛の持ち次第で往生極樂を
J09_0744B21: 買ひ得る也○本願の文顯然なりとは本願には乃至十
J09_0744B22: 念とあれとも願成就には乃至一念と説く故に○十丁
J09_0744B23: たしこの申す人は等とは業事成辨は臨終平生に通す
J09_0744B24: れとも一念百年の業に勝るると云へは臨終の一念に
J09_0744B25: 限る事也其の由は論註に在心在縁在决定の義を釋す
J09_0744B26: る中の在決定の義是也臨終には無後心無間心の故に
J09_0744B27: 平生の業に勝るると云ふこと也無後心とは先つ有後
J09_0744B28: 心を知れは無後心は知り易し其有後心とは後をあ
J09_0744B29: てて賴むを云也喩へは貧なる者の常に人に金を借り
J09_0744B30: て渡世するか如し今日は無けれとも急に借んとは思
J09_0744B31: はして後を賴む意也無後心とは後を賴む意なし喩へ
J09_0744B32: は大晦日につまつて急に金を借るか如し急切に只
J09_0744B33: 今不借仕舞かならぬ如く臨終の者の無後心も亦如
J09_0744B34: 是此の命終れは罪業の借金て地獄へ墮つること大

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