浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0744A01: | 十聲にてもあれ業事成辨はひとしき故に功德の勝劣 |
J09_0744A02: | は無き也皆同じ淨土に往生す喩へは五條の橋より眞 |
J09_0744A03: | 如堂まで駕籠を借るに四十錢五十錢をやるも有り六 |
J09_0744A04: | 十錢七十錢をやるもあり至つてやすきは二十三十 |
J09_0744A05: | 乃至十錢をやるもあるべし駕籠の賃に不同は有りと |
J09_0744A06: | も落付處は同じ眞如堂なり扨其の業事成辨と云ふは |
J09_0744A07: | 何なることそと云ふに喩へは物を買ふに此の價値に |
J09_0744A08: | て賣る歟不賣歟と云ふか如し其の物は一文にて賣 |
J09_0744A09: | ると云へは錢一文持ては買ふこと成就する也又其の |
J09_0744A10: | 物は一文にて賣るがいや三文で無けれはならぬと |
J09_0744A11: | 云ふ時錢三文持てば買ふこと成就す是を業事成辨す |
J09_0744A12: | ると云也念佛の業事成辨も亦然なり扨業事成辨に何 |
J09_0744A13: | とて數を定めぬものそ十聲ならは十聲と定まるへき |
J09_0744A14: | ものそと云ふに數を定むる時は機をもらす失あり十 |
J09_0744A15: | 錢でうる極樂と定むるときは九文持つ者は買ふ事 |
J09_0744A16: | ならず若し九念にて息の絶ゆる者は彼の極樂をかは |
J09_0744A17: | ずして異處に生す此の故に人人の業成不定なれは一 |
J09_0744B18: | 聲乃至十聲にて皆得生す數の定まらぬか還つて佛力 |
J09_0744B19: | の難思也されは五念三念でもあれ息の止まる處か即 |
J09_0744B20: | ち業事成辨也人は皆念佛の持ち次第で往生極樂を |
J09_0744B21: | 買ひ得る也○本願の文顯然なりとは本願には乃至十 |
J09_0744B22: | 念とあれとも願成就には乃至一念と説く故に○十丁た |
J09_0744B23: | たしこの申す人は等とは業事成辨は臨終平生に通す |
J09_0744B24: | れとも一念百年の業に勝るると云へは臨終の一念に |
J09_0744B25: | 限る事也其の由は論註に在心在縁在决定の義を釋す |
J09_0744B26: | る中の在決定の義是也臨終には無後心無間心の故に |
J09_0744B27: | 平生の業に勝るると云ふこと也無後心とは先つ有後 |
J09_0744B28: | 心を知れは無後心は知り易し其有後心とは後をあ |
J09_0744B29: | てて賴むを云也喩へは貧なる者の常に人に金を借り |
J09_0744B30: | て渡世するか如し今日は無けれとも急に借んとは思 |
J09_0744B31: | はして後を賴む意也無後心とは後を賴む意なし喩へ |
J09_0744B32: | は大晦日につまつて急に金を借るか如し急切に只 |
J09_0744B33: | 今不借仕舞かならぬ如く臨終の者の無後心も亦如 |
J09_0744B34: | 是此の命終れは罪業の借金て地獄へ墮つること大 |