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J1420 和語灯録日講私記 義山・素中 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0743A01: 第しだいに衰ふるに付ては物事もおろそかになること
J09_0743A02: なれは善心もうすくなる也麒麟も老ぬれは驢馬にお
J09_0743A03: とるの譬あり扨善心のうすくなるには二の由あるへ
J09_0743A04: し先は何事も時をのへてしもてゆくときは心にそ
J09_0743A05: まずそらそらしくなること也取りくはだつる初の樣
J09_0743A06: には無きもの也此の世の事のさしも心にそみたるた
J09_0743A07: にも時をへてしもてゆくときはおろそかになるもの
J09_0743A08: 也何况や無始より不習善心今始て發すことなれは
J09_0743A09: さもあらんかし四要義の中の三心要略の意也次には老ひたる人は尚
J09_0743A10: を友によるへきこと也我も人も老ひぬれは心耄れて
J09_0743A11: 只愚痴のみ思ひもし言ひもするなれは一入善心には
J09_0743A12: 趣き難し此等の二義尤も意を付へきこと也○古人
J09_0743A13: のいへるとは此語未得考追て可尋但し涅槃經に
J09_0743A14: 衆生發菩提心見小縁動如水中月動等の類文
J09_0743A15: 要集記三之三十三丁指麾鈔八之七十丁有り往見るへし○七丁千中無一とは
J09_0743A16: 禮讃六丁の釋なり○やうもなくとは元祖の仰せに念佛
J09_0743A17: 申すにはまたく別の樣なし只申せは極樂へむまると
J09_0743B18: 知りて心をいたして申せはまいるなり御傳二十一之初丁又上
J09_0743B19: 人御往生の後三井寺の住心房の夢の中にとはれても
J09_0743B20: 念佛はまたく風情もなしたた申すより外の事なしと
J09_0743B21: 上人答へ玉ひけるなり同 卷十一丁○わか心をすませとに
J09_0743B22: もあらすとはすませと云ふ上に無理にと云ふ二字を
J09_0743B23: そへて意得へし其意味より知れる也次の身をきよ
J09_0743B24: めの處も同し事也○差別なしとは心のすむとても凡
J09_0743B25: 夫の心の内いかほとの事かあらん妄念をこれはとて
J09_0743B26: 其の妄心のために穢さるる名號にあらざればあへて
J09_0743B27: 差別は無き也○手には念珠をまはすとは總して手に
J09_0743B28: 念珠をまはす計りは功德無き事にて元祖の敎誡なれ
J09_0743B29: とも爰は三業不調の事を云はん爲めなれは如此釋
J09_0743B30: せり通途の所作に爰を取り用ゆることなかれ○九丁
J09_0743B31: 後の時の事なりとは此の問答は平生の事には非す
J09_0743B32: 爾るに尋ぬる人は其差別を不知十聲一聲を問ふ故
J09_0743B33: に一聲十聲は最後のときの事とことはり玉ふ也○
J09_0743B34: 往生たにもひとしくはとは一聲にてもあれ三聲五聲

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