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J1420 和語灯録日講私記 義山・素中 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0722A01: を自慢する氣ならはやはり捨てぬかよき也其次の住
J09_0722A02: 持職の人人も同し事也○この世さまにもとは世間な
J09_0722A03: みの人もうるさく思ふ也○心のいろとは心に色は無
J09_0722A04: きものなれとも心に思ふ處をしはらく色と云へり古
J09_0722A05: 歌にも『心のいろをいかであかさん』なと云へり○と
J09_0722A06: りなしてとは其の名利を捨てたるをやかてとりなを
J09_0722A07: して也○さとりあさきとは世間の人の中にも至つて
J09_0722A08: 愚なる人はと云ふ也○心のそこをはしらすとは其の
J09_0722A09: 世間を捨つる人の心の底を知らす貴むと也○本意に
J09_0722A10: おもひてとは彼の世間を捨つる人の思ひ樣也○幽な
J09_0722A11: るすみかをとは山中へ引籠る本意は心を澄して佛道
J09_0722A12: を修行せんか爲め也爾るに此人は唯人の尋來らんと
J09_0722A13: 思ふ也○ためとしもとはしの字はやすめ言は也○た
J09_0722A14: つねきたらん人とはもしや尋ねきたらん人も有らん
J09_0722A15: と心の内に待ち思ふ也上におのつからと云へるは自
J09_0722A16: 然と尋來らんと云ふの氣味也天台の隆堯は江州金勝
J09_0722A17: 寺の谷に草庵を結ひて『世のうさにかへぬる山の隱
J09_0722B18: 家を問はぬは人の情なりけり』と讀めり此の心こそ
J09_0722B19: 實にあらまほしけれ○もしはつたへきかん人とは是
J09_0722B20: も亦おろかなる心なり傳へきき思はんことをこのむ
J09_0722B21: は偏に他のほまれを求む此れ名を釣るの人也兼好か
J09_0722B22: 云へるつらつら思へは譽を愛する人の聞をよろこふ
J09_0722B23: なりほむる人そしる人ともに世にととまらず傳へき
J09_0722B24: かん人又又すみやかに去へし誰をかはち誰にかしら
J09_0722B25: れん事をねかはんや譽はまた毀のもとなり身の後の
J09_0722B26: 名殘りて更に益なしと徒然草上三十八段○まかきのうち等とは
J09_0722B27: 本より虚假を地盤とする人なるか故に庭のしつらひ
J09_0722B28: なと殊勝に拵へたる也○罪の事もとは慚愧懺悔の意
J09_0722B29: なく唯茶の湯者の岩や木なとを直す樣のこと計り思
J09_0722B30: ふ也扨箇樣なることは中分已上の人或は出家遁世者
J09_0722B31: などに多く有ることなり至つてしほらしき上上の虚
J09_0722B32: 假也○四十二丁又世をそむきたる人こそとは是れより已
J09_0722B33: 下の意は如上意はへなれは中人已上は名聞も有る
J09_0722B34: へし夫より下は名聞有るへからすと思ふか故に又是

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