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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0645A01: 句の不同候へし。さは候へとも。又是を意えて。わか
J09_0645A02: 心には三心具したりとおほえは。心づよくもおほえ。
J09_0645A03: 又具せずとおほえは心をもはけまして。かまへて具
J09_0645A04: せんとおもひしり候はんは。よくそ候ひぬへけれは。
J09_0645A05: 心のをよふ程は申に候。このうへさのみはつくしか
J09_0645A06: たく候へは。ととめ候ぬ。又この中におぼつかなく。
J09_0645A07: おぼしめす事候はんをは。をのつから見參にいり候
J09_0645A08: はん時。申ひらくへく候是そ往生すべき心はへの沙
J09_0645A09: 汰にて候。これを安心とはなずけて候也
J09_0645A10: 私云。淨土門に入へき御消息ありけりと見えたり
J09_0645A11: いまたたつねえす
J09_0645A12: ある人のもとへつかはす御消息
J09_0645A13: 念佛往生は。いかにもしてさはりをいだし。難ぜんと
J09_0645A14: すれとも往生すまじき道理はをほかた候ぬ也。善根
J09_0645A15: すくなしといはんとすれは。一念十念もるる事なし。
J09_0645A16: 罪障をもしといはんとすれは。十惡五逆も往生をと
J09_0645A17: ぐ。人をきらはんといはんとすれは。常沒流轉の凡夫
J09_0645B18: を。まさしきうつはものとせり。時くだれりといはん
J09_0645B19: とすれは。末法万年のすゑ。法滅已後さかりなるへ
J09_0645B20: し。此法はいかにきらはんとすれとももるる事なし。
J09_0645B21: ただちからをよはさる事は。惡人をも時をもえらは
J09_0645B22: す。攝取し給ふ佛なりと。ふかくたのみて。わが身を
J09_0645B23: かへりみず。ひとすちに佛の大願業力によりて。善惡
J09_0645B24: の凡夫往生をうと信ぜずして。本願をうたがふばか
J09_0645B25: りこそ。往生にはおほきなるさはりにて候へ
J09_0645B26: 一いかさまにも候へ。末代の衆生は。今生のいのり
J09_0645B27: にもなり。まして後生の往生は。念佛の外にはかな
J09_0645B28: ふましく候。源空かわたくしに申事にてはあらす。聖
J09_0645B29: 敎のおもてに。かかみをかけたる事にて候へは。御
J09_0645B30: らんあるへく候也
J09_0645B31: 熊谷の入道へつかはす御返事
J09_0645B32: 御文よろこひてうけ給はり候ぬ。まことにそののち
J09_0645B33: は。おぼつかなく候つるに。うれしくおほせられて
J09_0645B34: 候。但念佛の文かきてまいらせ候。御らん候へし。

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