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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0644A01: ことく。かれにてもこれにても。異事に廻向する事
J09_0644A02: なくして。一向に極樂に往生せんと廻向すへき也。
J09_0644A03: もしこのことはりをも。をもひさだめつらんさき
J09_0644A04: に。この世の事をもいのり。あらぬかたへも廻向し
J09_0644A05: たらん功德をも。みなとり返して。往生の業になさ
J09_0644A06: んと廻向すへき也。一切の善根をみな極樂に廻向す
J09_0644A07: へしと申せはとて。念佛に歸して。一向に念佛申さ
J09_0644A08: ん人の。ことさらに餘の功德をつくりあつめて。廻
J09_0644A09: 向せよとには候はす。過ぬるかたにつくりをきたら
J09_0644A10: ん功德をも。もし又こののちなりとも。をのつから便
J09_0644A11: 宜にしたがひて。念佛のほかの善を修する事のあら
J09_0644A12: んをも。しかしなから往生の業に廻向すへしと。申
J09_0644A13: す事にて候也。此心金剛のことくにして。別解別行
J09_0644A14: の人にやぶられされと申候は。さきにも申候つる樣
J09_0644A15: に。ことさとりの人にをしへられて。かれこれに廻向
J09_0644A16: する事なかれと申候也。金剛はやぶれぬものにて候
J09_0644A17: なれは。たとへにとりて。この心のやぶれぬ事も。金
J09_0644B18: 剛のことくなれと申候にやとおほへ候。是を廻向發
J09_0644B19: 願心とは申候也三心のありさま。をろをろ申ひらき
J09_0644B20: 候ぬ。此三心を具しぬれは。かならす往生するなり。
J09_0644B21: 一心もかけぬれは。むまるる事をえすと。善導は釋し
J09_0644B22: 給ひたれは。往生をねかはん人は。最も此三心を具す
J09_0644B23: へき也。しかるにかやうに申したるには別別にて。
J09_0644B24: 事事しきやうなれとも。意えとくには。さすかにやす
J09_0644B25: く具しぬへき心にて候也。詮してはたたまことの心あ
J09_0644B26: りて。ふかく佛のちかひをたのみて。往生をねがはん
J09_0644B27: するにて候ぞかし。されはあさきふかきのかはりめ
J09_0644B28: こそ候へとも。さほとの心は。たれかをこささらんと
J09_0644B29: こそはおほえ候へ。かやうの事は。うとくをもふおり
J09_0644B30: には。大事におほえ候。とりよりて沙汰すれは。さ
J09_0644B31: すかにやすき事にて候也。よくよく心えとかせおは
J09_0644B32: しますへく候。たたしこの三心は。その名をだにもし
J09_0644B33: らぬ人も。そらに具して往生し。又こまかにならひ沙
J09_0644B34: 汰する人も。返りて闕る事も候也是につきても。四

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