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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0641A01: 佛四十八願をもて。衆生を攝取し給に。即名號を稱
J09_0641A02: する事。下十聲一聲にいたるまて。かの願力に乘じ
J09_0641A03: て。さためて往生する事をうと信して。乃至一念も
J09_0641A04: うたがふ心なきかゆへに。深心となづく。又深信と
J09_0641A05: いふは。决定して心をたてて。佛敎にしたがひて修
J09_0641A06: 行して。ながくうたがひをのぞき。一切の別解別行。
J09_0641A07: 異學異見異執のために。退失傾動せられさる也とい
J09_0641A08: へり。此釋の意は。はしめにはわか身の程を信じ。の
J09_0641A09: ちには佛の願を信する也。ただし後の信を决定せん
J09_0641A10: かために。はしめの信心をはあぐる也。そのゆへは。
J09_0641A11: もしはしめの信心をあげすして。のちの信心を出し
J09_0641A12: たらましかは。もろもろの往生をねがはん人。たと
J09_0641A13: ひ本願の名號をはとなふとも。みつから心に貪欲瞋
J09_0641A14: 恚等の煩惱をもおこし。身に十惡破戒等の罪惡をも
J09_0641A15: つくりたる事あらは。みだりにみつから身をひがめ
J09_0641A16: て。かへりて本願をうたがひ候ひなまし。いま此本願
J09_0641A17: に十聲一聲まても往生すといふは。おぼろけの人に
J09_0641B18: はあらじ。妄念もをこさず。罪もつくらず。めでた
J09_0641B19: き人にてぞあるらんわがごときのともからの。一念
J09_0641B20: 十念にてはよもあらじとぞおぼえまし。しかるを善
J09_0641B21: 導和尚。未來の衆生の。此うたがひをのこさん事を
J09_0641B22: かがみて。此二種の信心をあげて。われらがごとき
J09_0641B23: いまた煩惱をも斷せす。罪業をもつくる凡夫なりと
J09_0641B24: も。ふかく彌陀の本願を信じて。念佛すれは。一聲
J09_0641B25: にいたるまて决定して。往生するむねを釋し給へり。
J09_0641B26: 此釋の。ことに心にそみて。いみしくおほへ候也。
J09_0641B27: まことにかくだにも釋し給はざらましかは。われらか
J09_0641B28: 往生は不定にぞおほえましと。あやうくおほえ候
J09_0641B29: 也。されは此義を心えわかぬ人やらん。わか心のわ
J09_0641B30: ろけれは往生はかなはじなとこそは。申あひて候め
J09_0641B31: れ。そのうたかひの。やかで往生せぬ心にて候ける
J09_0641B32: ものを。たた心のよきわろきをも返りみず。罪のか
J09_0641B33: ろきをもきをも沙汰せず。心に往生せんとおもひて。
J09_0641B34: 口に南無阿彌陀佛ととなへて。聲につきて决定往生

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