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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0640A01: ぎにして。本尊道塲の莊嚴。まがきのうちには。木
J09_0640A02: 立なとの心ぼそく。ものあはれならんことがらを。
J09_0640A03: 人にみえきかれん事をのみ執する程に。露はかりの
J09_0640A04: 事も。人のそしりにならん事あらじと。いとなむ心
J09_0640A05: より外におもひましふる事も。なきやうなる心のみ
J09_0640A06: して。佛のちかひをたのみ。往生をねがはんなとい
J09_0640A07: ふ事をは思ひいれす。沙汰もせぬことの。やがて至
J09_0640A08: 誠心かけて。往生もえせぬ心ばへにて候也。又かく
J09_0640A09: 申候へは。一途に此世の人目をばいかにもありなん
J09_0640A10: とて。人のそしりをかへりみぬがよきぞと申にては
J09_0640A11: 候はす。ただし時にのそみ。譏嫌のために。世間の人
J09_0640A12: 目をかへりみる事は候へとも。それをたのみおもひ
J09_0640A13: いれて。往生のさはりになるかたをは。かへりみぬ
J09_0640A14: 樣にひきなされ候はん事の。返返もおろかにくちお
J09_0640A15: しく候へは。御身にあたりても。御心えさせまいら
J09_0640A16: せ候はんために申候也。此心につきて四句の不同あ
J09_0640A17: るへし。一には外相は貴けにて。内心は貴からぬ人
J09_0640B18: あり。二には外相も内心も。ともに貴からぬ人あり
J09_0640B19: 三には外相は貴けもなくて内心は貴き人あり。四に
J09_0640B20: は外相も内心もともに貴き人あり。四人の中にさき
J09_0640B21: の二人は。いまきらふところの。至誠心かけたる人
J09_0640B22: 也。是を虚假の人となづくへし。のちの二人は至誠
J09_0640B23: 心具したる人也。是を眞實の行者となづくへし。さ
J09_0640B24: れは詮ずるところは。ただ内心にまことの心ををこ
J09_0640B25: して。外相はよくもあれ。あしくもあれ。とてもか
J09_0640B26: くてもあるへきにやと。おほえ候也。おほかた此世
J09_0640B27: をいとはん事も。極樂をねがはん事も。人目はかり
J09_0640B28: をおもはで。まことの心ををこすへきにて候也。こ
J09_0640B29: れを至誠心と申候也。二に深心といふは。善導釋して
J09_0640B30: いはく。深心といふは。すなはちこれふかく信する
J09_0640B31: 心なり。是に二種あり。一には决定してふかくわか
J09_0640B32: 身は是。煩惱を具せる罪惡生死の凡夫也。善根薄少
J09_0640B33: にして。曠劫よりこのかた。つねに三界に流轉して
J09_0640B34: 出離の縁なしと信ずへし。二にはふかくかの阿彌陀

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