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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0639A01: みみにみちたるはかなさにて候めれは。事あたらし
J09_0639A02: く申たつるにをよはす。たた返返も御心をしづめ
J09_0639A03: て。おほしめしはからふへく候。さきには聖道淨土
J09_0639A04: の二門を心えわけて。淨土の一門に。いらせおはし
J09_0639A05: ますへきよしを申候き。いまは淨土門につきてをこ
J09_0639A06: なふへき樣を申へし。淨土に往生せんとおもはん人
J09_0639A07: は。安心起行と申て。心と行と相應すへき也。その
J09_0639A08: 心といふは。觀無量壽經に説ていはく。もし衆生あ
J09_0639A09: りて。かの國にむまれんとねかはん者は。三種の心
J09_0639A10: ををこして。即往生すへし。なにをか三つとする。
J09_0639A11: 一には至誠心。二には深心。三には廻向發願心也。
J09_0639A12: 三心を具せるものは。かならすかの國にむまるとい
J09_0639A13: へり。善導和尚此三心を釋していはく。一に至誠心
J09_0639A14: と云は。至といは眞也。誠といは實也。一切衆生の
J09_0639A15: 身口意業に。修せむところの解行。かならす眞實心
J09_0639A16: の中になすへき事を。あかさんとおもふ。外には賢
J09_0639A17: 善精進の相を現し。内には虚假をいたくことをえされ。
J09_0639B18: 内外明闇をえらはす。かならず眞實をもちひよ。か
J09_0639B19: るかゆへに至誠心となづくといへり。此釋の意は。
J09_0639B20: 至誠心といふは。眞實心也。その眞實といふは。身
J09_0639B21: にふるまひ。口にいひ。心におもはん事。みなまこ
J09_0639B22: との心を具すへき也。即内はむなしくして。外をか
J09_0639B23: さる心のなきをいふなり。此心はうき世をそむき
J09_0639B24: て。まことのみちにおもむくとおほしき人人の中
J09_0639B25: に。よくよく用意すへき心ばへにて候也。われも人
J09_0639B26: も。いふはかりなきゆめの世を執ずる心のふかかり
J09_0639B27: しなごりにて。ほどほどにつきて名聞利養を。わづ
J09_0639B28: かにふりすてたるばかりを。ありかたくいみじき事
J09_0639B29: にして。やがてそれを。返りて又名聞にしなして。此
J09_0639B30: 世さまにも心のたけのうるさきに。とりなしてさと
J09_0639B31: りあさき世間の人の。心の中をばしらず。貴がりい
J09_0639B32: みじかるを。是こそは本意なれとしえたる心ちし
J09_0639B33: て。みやこのほとりをかきはなれて。かすかなるす
J09_0639B34: みかをたづぬるまでも。心のしづまらんためをばつ

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