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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0638A01: ちかひをたのみて。决定往生のみちに。をもむけか
J09_0638A02: しとこそおもひ候へとも。人の心のさまさまにして
J09_0638A03: たた一すぢにゆめまほろしのうき世ばかりのたのし
J09_0638A04: みさかへをもとめて。すべてのちの世をもしらぬ人
J09_0638A05: も候。又後世ををそるべきことはりをおもひしり
J09_0638A06: て。つとめをこなふ人につきても。かれ此に心をう
J09_0638A07: ごかして。一すぢに一行をたのまぬ人も候。又いづ
J09_0638A08: れの行にても。もとよりしはじめおもひそめつる事
J09_0638A09: をは。いかなることはりをきけとも本の執心をあら
J09_0638A10: ためぬ人も候。又けふはいみじく信ををこして。一
J09_0638A11: すぢにをもむきぬとみゆる程に。うちすつる人も候。
J09_0638A12: かくのみ候て。まことしく淨土の一門にいりて。念
J09_0638A13: 佛の一行をもはらにする人の。ありがたく候事は。
J09_0638A14: わが身ひとつのなげきとこそは。人しれす思ひ候へ
J09_0638A15: とも。法によりて。人によらぬことはりをうしなは
J09_0638A16: ぬ程の人も。ありがたき世にてをのつからすすめこ
J09_0638A17: ころみ候にも。われからのあなづらはしさに。申い
J09_0638B18: づることはりもすてらるるにこそなと。おもひしら
J09_0638B19: るる事にてのみ候か。心うくかなしく候て。是ゆへ
J09_0638B20: にいまひときは。とく淨土にむまれて。さとりをひ
J09_0638B21: らきてのち。いそき此世界に還りきたりて。神通方
J09_0638B22: 便をもて。結縁の人をも。無縁のものをも。ほむる
J09_0638B23: をも。そしるをも。みなことことく。念佛にすすめ
J09_0638B24: いれて。淨土へむかへむとちかひををこしてのみこ
J09_0638B25: そ。當時の心をもなくさむる事にて候に。此おほせ
J09_0638B26: にそ。わか心さしもしるしあるここちして。あまり
J09_0638B27: にうれしく候へ。その儀にて候はは。おなしくは。
J09_0638B28: まめやかにけにけにしく御沙汰候ひて。ゆくすゑも
J09_0638B29: あやうからす。往生もたのもしき程に。おほしめし
J09_0638B30: さためさせおはしますへく候。詮しては。人のはか
J09_0638B31: らひ申すへき事にても候はす。よくよく案して御
J09_0638B32: らん候へ。此事にすきたる御大事何事かは候へき。
J09_0638B33: 此世の名聞利養は。中なかに申ならふるも。いまい
J09_0638B34: ましく候。やがてきのふ今日。まなこにさへぎり。

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