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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0634A01: る也。たたし念佛して往生するに不足なしといひて。
J09_0634A02: 惡業をもはばからす行すへき慈悲をも行ぜす。念佛
J09_0634A03: をもはげまさざらん事は。佛敎のをきてに相違する
J09_0634A04: 也。たとへは父母の慈悲は。よき子をもあしき子をも
J09_0634A05: はくくめとも。よき子をはよろこび。あしき子をはな
J09_0634A06: げくがことし。佛は一切衆生をあはれみて。よきをも
J09_0634A07: あしきをもわたし給へとも。善人をみてはよろこび。
J09_0634A08: 惡人を見てはかなしみ給へる也。よき地によき種を
J09_0634A09: まかんがことし。かまへて善人にしてしかも念佛を
J09_0634A10: 修すへし。是を眞實に佛敎にしたかふものといふ也。
J09_0634A11: 詮するところ。つねに念佛して往生に心をかけて。佛
J09_0634A12: の引接を期して。やまひにふし。死にをよふへからん
J09_0634A13: に。おとろく心なく往生をのそむへきなり
J09_0634A14: 南無阿彌陀佛 南無阿彌陀佛
J09_0634A15:
J09_0634A16: 東大寺十問答俊乘房問
J09_0634A17: 一問。釋迦一代の聖敎を。みな淨土宗におさめ候か。
J09_0634B18: 又三部經にかきり候か
J09_0634B19: 答。八宗九宗。みないつれをもわか宗の中にをさめ
J09_0634B20: て。聖道淨土の二門とはわかつ也。聖道門に大小あ
J09_0634B21: り。權實あり。淨土門に十方あり。西方あり。西方
J09_0634B22: の門に雜行あり。正行あり。正行に助行あり。正定
J09_0634B23: 業あり。かくして聖道はかたし。淨土はやすしと釋
J09_0634B24: しいるる也。宗をたつるをもむきをしらぬものの。
J09_0634B25: 三部經にかぎるとはいふなり
J09_0634B26: 二問。正雜二行。ともに本願にて候か
J09_0634B27: 答。念佛は本願也。十方三世の佛菩薩にすてられた
J09_0634B28: る。ゑせ者をたすけんとて。五劫まて思惟し。六道
J09_0634B29: の苦機にゆづり。是をたよりにてすくはんと支度し
J09_0634B30: 給へる。本願の名號也。ゆめゆめ雜行本願といふ者
J09_0634B31: は。佛の五智をうたがひて。邊地にととまり。見佛
J09_0634B32: 聞法の利益にもるる者也。是は誑惑の者の道心もな
J09_0634B33: きか。山寺法師なとにほめられんとて。佛意をはか
J09_0634B34: へりみすいひいだせる事なり

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