浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0633A01: | あへり。無常念念にいたり。老少きはめて不定なり。 |
J09_0633A02: | やまひきたらん事かねてしらす。生死のちかづく事 |
J09_0633A03: | たれかおほえん。もともいそくへし。はけむへし。 |
J09_0633A04: | 念佛に三心を具すといへるも。これらのことはりを |
J09_0633A05: | はいです。三心といは。一には至誠心。二には深心 |
J09_0633A06: | 三には廻向發願心なり。至誠心とは。眞實の心也。 |
J09_0633A07: | 往生をねかひ念佛を修せんにも。心のそこより思ひ |
J09_0633A08: | たちて行するを。至誠心といふ。心におもはざる事 |
J09_0633A09: | を外相ばかりにあらはすを。虚假不實といふ也。心 |
J09_0633A10: | のうちに又ふたたび生死の三界に返らしとおもひ。 |
J09_0633A11: | 心のうちに淨土にむまれむと思ひて念佛すれは。往 |
J09_0633A12: | 生すへし。此ゆへに外にはその相も見えざるか往生 |
J09_0633A13: | する事あり。外にその相みゆれとも往生せざるもあ |
J09_0633A14: | り。ただ心につらつら有爲無常のありさまをおもひ |
J09_0633A15: | しりてこの身をいとひ。念佛を修すれは。自然に至 |
J09_0633A16: | 誠心をは具する也。深心と云は。信心也。わか身は |
J09_0633A17: | 罪惡生死の凡夫也と信じ。彌陀如來は本願をもて。 |
J09_0633B18: | かならす衆生を引接し給ふと信して。うたがはす。 |
J09_0633B19: | 念佛せんものむまれすは。正覺をとらじとちかひて |
J09_0633B20: | すでに正覺をなり給へは。稱念するものはかならす |
J09_0633B21: | 往生すと信すれは。自然に深心をは具する也。廻向 |
J09_0633B22: | 發願心といふは。修するところの善根を極樂に廻向 |
J09_0633B23: | して。かしこに生せんとねがふ心也。別の義あるへ |
J09_0633B24: | からす。三心といへる名は。各別なるに似たれとも。 |
J09_0633B25: | 詮するころは。たた一向專念といへる事あり。一す |
J09_0633B26: | ちに彌陀をたのみ念佛を修して。餘の事をまじへさ |
J09_0633B27: | る也。そのゆへは。壽命の長短といひ。果報の深淺と |
J09_0633B28: | いひ。みな宿業にこたへたる事をしらすして。いたづ |
J09_0633B29: | らに佛神にいのらんよりも。一すちに彌陀をたのみ |
J09_0633B30: | てふた心なけれは。不定業をは轉し决定業をは。來迎 |
J09_0633B31: | し給ふへし。無益のこの世をいのらんとて大事の後 |
J09_0633B32: | 世をわするる事は。さらに本意にあらす。後世のため |
J09_0633B33: | に念佛を正定の業とすれは。是をさしをきて餘の行 |
J09_0633B34: | を修すべきにあらされは。一向專念なれとはすすむ |