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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0627A01: もしり候はぬものにて候へは。ただ意はかりをきき
J09_0627A02: て。後生やたすかり候。往生やし候とて。となへ申
J09_0627A03: ほとに。ちかきものどもみうらやみ候て。少少申す
J09_0627A04: ものとも候也と。これほとに申させ給ふへし。中なか
J09_0627A05: くはしく申させ給はは。あやまちもありなとして。
J09_0627A06: あしき事もこそ候へとおほえ候。樣樣に難答をしる
J09_0627A07: してと候へとも。時にのぞみては。いかなること葉
J09_0627A08: ともか候はんすらん。書てまいらせ候はんもあしく
J09_0627A09: 候ぬへく候。ただよくよく御はからひ候て。早晩よ
J09_0627A10: きやうにこそはからはせ給ひ候はめ。又念佛申すへ
J09_0627A11: からすとおほせられ候とも。往生に心さしあらん人
J09_0627A12: は。それにはより候まじ。念佛よくよく申せとおほ
J09_0627A13: せられ候とも。道心なからん者は。それにはより候
J09_0627A14: まし。とにかくにつけても。このたひ往生しなんと
J09_0627A15: 人をはしらす御身にかぎりては。おほしめすへし。
J09_0627A16: わざとはるはると人のぼさせ給ひて候こそ。返返下
J09_0627A17: 人も不便に候へ。なをなを召し問はれ候はん時に
J09_0627B18: は。これより百千申て候はん事は。時にもかなひ候
J09_0627B19: ましけれは。無益の事にて候。はからひてよきやう
J09_0627B20: に。早晩にしたがひて。申させ給はんに。よもひが
J09_0627B21: 事は候はじ。眞字假字にひろくかきてまいらせ候は
J09_0627B22: んする事は。にはかにすへきにても候はす。それは
J09_0627B23: 又中なかあしき事にても候ぬへし。ただいと子細は
J09_0627B24: しり候はす。これほとにききて申候なりと申させ給
J09_0627B25: ひ候はんに。心候はん人はさりとも心え候ひなん。
J09_0627B26: 又道心なからん人は。いかに道理百千萬にわかつと
J09_0627B27: も。よも心え候はじ。殿は道理ふかくして。ひが事
J09_0627B28: おはしまさぬ事にて候と申あひて候へは。これらほ
J09_0627B29: どにきこしめさむに。念佛ひが事にてありけり。今
J09_0627B30: はな申しそとおほせらるる事はよも候はじ。さらざ
J09_0627B31: らん人は。いかにと申すとも。思とも。無益の事にて
J09_0627B32: こそ候はんずれ。何事も御文にはつくしかたく候。
J09_0627B33: あなかしこあなかしこ
J09_0627B34: 十月十八日

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