浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0622A01: | ここにととまりてわが供養をうけ給へ。そののちた |
J09_0622A02: | からをたてまつらんといふ。太子七日をへてたまを |
J09_0622A03: | 得給ひぬ。龍神そこよりをくりたてまつる。すなは |
J09_0622A04: | ち本國のきしにいたりぬ。爰にもろもろの龍神なげ |
J09_0622A05: | きていはく。このたまは海中のたからなり。なをと |
J09_0622A06: | り返してぞよかるへきとさだむ。海神人になりて太 |
J09_0622A07: | 子の御まへにきたりていはく。君世にまれなるたま |
J09_0622A08: | をえ給へりときく。とくわれに見せ給へといふ。太 |
J09_0622A09: | 子これを見せ給ふに。うばひとりてうみへいりぬ。 |
J09_0622A10: | 太子なげきてちかひていはく。なんぢもしたまを返 |
J09_0622A11: | さずんは。うみをくみほさんといふ。海神いででわ |
J09_0622A12: | らひていはく。なんぢはもともおろかなる人かな。 |
J09_0622A13: | そらの日をはをとしもしてん。はやきせをばとどめ |
J09_0622A14: | もしてん。うみのみつをばつくすへからすといふ。 |
J09_0622A15: | 太子の給はく。恩愛のたへかたきをもなをととめん |
J09_0622A16: | とをもふ。生死のつくしがたきをもなをつくさんと |
J09_0622A17: | おもふ。いはんやうみの水おほしといふともかぎり |
J09_0622B18: | あり。若この世にくみつくさすは。世世をへてもか |
J09_0622B19: | ならすくみつくさんとちかひて。かいのからをとり |
J09_0622B20: | てうみの水をくむ。ちかひの心まことなるがゆへ |
J09_0622B21: | に。もろもろの天人ことことくきたりて。あまのは |
J09_0622B22: | ころものそてにつつ見て。鐵圍山の外にくみをく。 |
J09_0622B23: | 太子一度二度かいのからをもてくみ給ふに。海水十 |
J09_0622B24: | 分が八分はうせぬ。龍王さはきあはてて。わがすみ |
J09_0622B25: | かむなしくなりなんとすとわびてたまを返したてま |
J09_0622B26: | つる。太子これをとりて都に返りて。もろもろのた |
J09_0622B27: | からをふらして。閻浮提のうちにたからをふらさざ |
J09_0622B28: | るところなし。くるしきをしのぎて退せさりしかは。 |
J09_0622B29: | これを精進波羅蜜といふ。むかしの太子は萬里のな |
J09_0622B30: | みをしのぎて。龍王の如意寳珠をえ給へり。いまの |
J09_0622B31: | われらは二河の水火をわけて。彌陀本願の寶珠を得 |
J09_0622B32: | たり。かれは龍神のくひしがためにうばはれ。これは |
J09_0622B33: | 異學異見のためにうばはる。かれはかいのからをも |
J09_0622B34: | て大海をくみしかは。六欲四禪の諸天きたりておな |