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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0621A01: して。かのくにの衆生は。かたちよきもあり。わ
J09_0621A02: ろきもありといふ者はなし。乃至天眼天耳光明壽命。
J09_0621A03: をよひ得三法忍の願にいたるまて。これにをいてう
J09_0621A04: たかひをなすものはいまたはんへらす。ただ第十八
J09_0621A05: の念佛往生の願一つをのみ信ぜさる也。もしこの願
J09_0621A06: をうたかはは。餘の願をも信すへからす。餘の願を
J09_0621A07: 信せは。この一願をうたがふへけんや。法藏比丘い
J09_0621A08: またほとけになり給はすといはは。これ謗法になり
J09_0621A09: なんかし。もし又なり給へりといはは。いかか此願
J09_0621A10: をうたがふへきや。四十八願の彌陀善逝は。正覺を
J09_0621A11: 十劫にとなへたまへり。六方恒沙の諸佛如來は。舌
J09_0621A12: 相を三千世界にのべたまへり。たれか是を信せざる
J09_0621A13: へきや。善導この信を釋しての給はく。化佛報佛若一
J09_0621A14: 若多。乃至十方に遍して。ひかりをかかやかし。し
J09_0621A15: たをはきて。あまねく十方におほひて。この事虚妄
J09_0621A16: なりとの給はんにも。畢竟して一念疑退の心ををこ
J09_0621A17: さしとの給へり。しかるをいまの行者たちは。異學
J09_0621B18: 異見のために。たやすくこれをやふらる。いかにい
J09_0621B19: はんや報佛化佛の給はんをや。そもそもこの行をす
J09_0621B20: ては。いすれの行にかをもむき給ふへき。智惠なけ
J09_0621B21: れは。聖敎をひらくにまなこくらし。財寶なけれは
J09_0621B22: 布施を行するにちからなし。むかし波羅柰國に太子
J09_0621B23: ありき。大施太子と申き。貧人をあはれみて。くら
J09_0621B24: をひらきてもろもろのたからを出してあたへ給ふ
J09_0621B25: に。たからはつくれともまづしき者はつくべから
J09_0621B26: ず。ここに太子うみの中に如意寳珠ありときき。海
J09_0621B27: にゆきてもとめてまづしきたみにたからをあたへん
J09_0621B28: とちかひて。龍宮にゆき給ふに。龍王おとろきあや
J09_0621B29: しみて。おぼろけの人にはあらずといひて。みつか
J09_0621B30: らむかへてたからのゆかにすへたてまつり。はるか
J09_0621B31: にきたり給へるこころさし何事をもとめ給ふそとと
J09_0621B32: へは。太子の給はく。閻浮提の人まづしくてくるし
J09_0621B33: む事おほし。王のもととりの中の寳珠をこはんがた
J09_0621B34: めにきたる也との給へは。王のいはく。しからは七日

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