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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0618A01: 惡業ををそるるは。彌陀の本願を信ぜさる也。數遍
J09_0618A02: をかさぬるは。一念の往生をうたがふ也。行業をい
J09_0618A03: へは。一念十念にたりぬへし。かるかゆへに數遍を
J09_0618A04: つむへからす。惡業をいへは。四重五逆なをむまる。
J09_0618A05: かるかゆへに諸惡をはばかるへからずといへり。こ
J09_0618A06: の義またくしかるへからす。釋尊の説法にもみえ
J09_0618A07: す。善導の釋義にもあらず。もしかくのごとく存ぜ
J09_0618A08: んものは。總しては諸佛の御意にたがふへし。別し
J09_0618A09: ては彌陀の本願にかなふへからす。その五逆十惡の
J09_0618A10: 衆生の。一念十念によりてかのくにに往生すといふ
J09_0618A11: は。これ觀經のあきらかなる文也。たたし五逆をつく
J09_0618A12: りて十念をとなへよ。十惡ををかして一念を申せと
J09_0618A13: すすむるにはあらす。それ十重をたもちて十念をと
J09_0618A14: なへ。四十八輕をまもりて四十八願をたのむは。心
J09_0618A15: にふかくこひねがふところ也。をよそいづれの行を
J09_0618A16: もはらにすとも。心に戒行をたもちて。浮囊をまも
J09_0618A17: るかことくにし。身の威儀に。油鉢をかたふけずは。
J09_0618B18: 行として成就せずといふ事なく。願として圓滿せす
J09_0618B19: といふ事なし。しかるをわれらあるひは四重ををか
J09_0618B20: し。あるひは十惡を行す。かれもをかしこれも行す。
J09_0618B21: 一人としてまことの戒行を具したるものはなし。諸
J09_0618B22: 惡莫作。衆善奉行は。三世の諸佛の通戒也。善を修
J09_0618B23: するものは。善趣の報をえ。惡を行する者は。惡道
J09_0618B24: の果を感すといふ。この因果の道理をきけともきか
J09_0618B25: ざるかことし。はじめていふにあたはず。しかれとも
J09_0618B26: 分にしたがひて惡業をととめ。縁にふれて念佛を行
J09_0618B27: じ往生を期すへし。惡人をすてられすは。善人なんそ
J09_0618B28: きらはん。つみををそるるは本願をうたがふそとい
J09_0618B29: ふは。この宗にまたく存ぜさるところ也。つきに一
J09_0618B30: 念十念によりてかの國に往生すといふは。釋尊の金
J09_0618B31: 言也。觀經のあきらかなる文也。善導和尚の釋にい
J09_0618B32: はく。下至十聲一聲等定得往生。乃至一念無有疑心
J09_0618B33: 故名深心といへり。又いはく行往坐臥不問時節久近
J09_0618B34: 念念不捨者。是名正定之業。順彼佛願故といへり。

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