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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0616A01: 願のゆへ也。又般舟三昧經にいはく。跋陀和菩薩。
J09_0616A02: 阿彌陀佛にとひていはく。いかなる法を行してか。
J09_0616A03: かの國にむまるへきやと。阿彌陀佛の給はく。わか
J09_0616A04: 國に來生せんとおもはんものは。つねに我名を念
J09_0616A05: じてやむ事なかれ。かくのことくして。わが國に來生
J09_0616A06: する事をうとの給へり。これ又弘願のむねを。かの
J09_0616A07: ほとけみつからのたまへり。又五臺山の大聖竹林寺
J09_0616A08: の記にいはく。法照禪師淸凉山にのぼりて。大聖竹
J09_0616A09: 林寺にいたる。ここに二人の童子あり。一人をは善
J09_0616A10: 財といひ。一人をは難陀といふ。この二人の童子。
J09_0616A11: 法照禪師をみちびきて。寺のうちにいれて。漸漸に
J09_0616A12: 講堂にいたりてみれは。普賢菩薩。無數の眷屬に圍
J09_0616A13: 繞せられて座し給へり。文殊師利は。一萬の菩薩に
J09_0616A14: 圍繞せられて坐し給へり。法照禮してとひたてまつ
J09_0616A15: りていはく。末法の凡夫はいづれの法をか修すへ
J09_0616A16: き。文殊師利こたへての給はく。なんぢすでに念佛
J09_0616A17: せよ。いままさしくこの時也と。法照又とひていは
J09_0616B18: く。まさにいづれの佛をか念すへきと。文殊又の給
J09_0616B19: はく。この世界をすぎて西方に阿彌陀佛まします。
J09_0616B20: かのほとけまさに願ふかくまします。なんぢまさに
J09_0616B21: 念ずへしと。大聖文殊。法照禪師にまのあたりの給
J09_0616B22: ひし事也。すべてひろくこれをいへは。諸敎にあま
J09_0616B23: ねく修せしめたる法門也と。つふさにあぐるにいと
J09_0616B24: まあらす。しかるをこのころ念佛のよにひろまりた
J09_0616B25: るによりて。佛法うせなんとすと。諸宗の學者難破
J09_0616B26: をいたすによりて。人おほく念佛の行を廢すときこ
J09_0616B27: ゆ。いまた意得す侍る。佛法はこれ萬年也。うしな
J09_0616B28: はんとおもふとも。佛法擁護の諸天善神まもり給ふ
J09_0616B29: ゆへに。人のちからにてはかなふへからす。かの守
J09_0616B30: 屋の大臣が。佛法を破滅せむとせしかとも。法命い
J09_0616B31: まだつきずして。いまにつたはるかことし。いはんや
J09_0616B32: 無智の道俗在家の男女のちからにて。念佛を行する
J09_0616B33: によりて。法相三論も隱沒し。天台華嚴も廢退する
J09_0616B34: 事なじかはあるべき。念佛を行せすしてゐたらは。

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