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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0611A01: をくりて。あひがたき佛敎にあへり。釋尊の在世に
J09_0611A02: あはざる事は。かなしみなりといへとも。敎法流布
J09_0611A03: の世にあふ事をえたるは。是よろこひ也。たとへは
J09_0611A04: 目しゐたる龜の。うき木のあなにあへるがことし。
J09_0611A05: わか朝に佛法流布せし事も。欽明天皇あめのしたを
J09_0611A06: しろしめして。十三年みつのえさるのとし。冬十月
J09_0611A07: 一日はしめて佛法わたり給ひし。それよりさきには
J09_0611A08: 如來の敎法も流布せさりしかは。菩提の覺路いまだ
J09_0611A09: きかず。ここにわれらいかなる宿縁にこたへ。いか
J09_0611A10: なる善業によりてか。佛法流布の時にむまれて。生
J09_0611A11: 死解脱のみちをきく事をえたる。しかるをいまあひ
J09_0611A12: かたくしてあふ事をえたり。いたづらにあかしくら
J09_0611A13: して。やみなんこそかなしけれ。あるひは金谷の花
J09_0611A14: をもてあそひて。遲遲たる春の日をむなしくくらし
J09_0611A15: あるひは南樓に月をあざけりて。漫漫たる秋の夜を
J09_0611A16: いたつらにあかす。あるひは千里の雲にはせて。山の
J09_0611A17: かせきをとりてとしををくり。あるひは萬里のなみ
J09_0611B18: にうかひて。うみのいろくつをとりて日をかさね。
J09_0611B19: あるひは嚴寒にこほりをしのきて世路をわたり。あ
J09_0611B20: るひは炎天にあせをのこひて利養をもとめ。あるひ
J09_0611B21: は妻子眷屬に纒はれて。恩愛のきつなきりかたし。
J09_0611B22: あるひは讎敵怨類にあひて。瞋恚のほむらやむ事な
J09_0611B23: し。總してかくのことくして。晝夜朝暮行住坐臥。
J09_0611B24: 時としてやむ事なし。ただほしきままに。あくまて
J09_0611B25: 三途八難の業をかさぬ。しかれはある文には。一人
J09_0611B26: 一日中。八億四千念。念念中所作。皆是三途業とい
J09_0611B27: へり。かくのことくして。昨日もいたつらにくれぬ。
J09_0611B28: 今日も又むなしくあけぬ。いまいくたびかくらし。
J09_0611B29: いくたひかあかさんとする。それあしたにひらくる
J09_0611B30: 榮花は。ゆふへの風にちりやすく。ゆふへにむすふ
J09_0611B31: 命露は。あしたの日にきえやすし。是をしらすして
J09_0611B32: つねにさかへん事を思ひ。是をさとらすしてつねに
J09_0611B33: あらん事をおもふ。しかるあひた。無常の風ひとた
J09_0611B34: ひふきて。有爲のつゆながくきえぬれは。これを曠

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