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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0582A01: はあらす。行じなからをろそかにしてあかしくらし
J09_0582A02: 候へは。かかる身なれは。いかにもこの三心具したり
J09_0582A03: と申べくもなし。されはこのたびの往生をはおもひ
J09_0582A04: たえ候へきにや
J09_0582A05: 答ていはく。淨土をねがへともはげしからす。念佛
J09_0582A06: すれども心のゆるらかなる事をなげくは。往生の心
J09_0582A07: ざしのなきにはあらす。心ざしのなき者はゆるらか
J09_0582A08: なるをもなげかず。はげしからぬをもかなしまず。い
J09_0582A09: そくみちにはあしのをそきをなげく。いそがざるみ
J09_0582A10: ちにはこれをなげかざるかことし。又このめばをの
J09_0582A11: つから發心すと申す事もあれは。漸漸に增進してか
J09_0582A12: ならす往生すへし。日ころ十惡五逆をつくれるもの
J09_0582A13: も。臨終にはじめて善知識にあひて往生する事あ
J09_0582A14: り。いはんや往生をねがひ。念佛を申してわが心の
J09_0582A15: はげしからぬ事をなげかむ人をは。佛もあはれみ菩
J09_0582A16: 薩もまもりて。障りをのそき。知識にあひて。往生
J09_0582A17: をうへき也
J09_0582B18: 問ていはく。念佛の行者はつねにいかやうにかおも
J09_0582B19: ひ候へき
J09_0582B20: 答ていはく。あるときには世間の無常なる事をおも
J09_0582B21: ひて。このよのいくほとなき事をしれ。ある時には。
J09_0582B22: 佛の本願をおもひて。かならすむかへ給へと申せ。
J09_0582B23: ある時には人身のうけがたきことはりをおもひて。
J09_0582B24: このたひむなしくやまん事をかなしめ。六道をめく
J09_0582B25: るに。人身をうる事は。梵天より糸をくだして。大
J09_0582B26: 海のそこなる針のあなをとをさんかことしといへ
J09_0582B27: り。ある時は。あひがたき佛法にあへり。このたひ
J09_0582B28: 出離の業をうへずは。いつをか期すべきとおもふへ
J09_0582B29: き也。ひとたび惡道に墮しぬれは。阿僧祇劫をふれ
J09_0582B30: ども。三寳の御名をきかず。いかにいはんやふかく
J09_0582B31: 信ずる事をえんや。ある時にはわが身の宿善をよろ
J09_0582B32: こぶへし。かしこきもいやしきも人おほしといへと
J09_0582B33: も。佛法を信じ淨土をねがふものはまれ也。信ずる
J09_0582B34: までこそかたからめ。そしりにくみて惡道の因をの

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