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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0581A01: どの人はみな往生すへきに。ねがふものもおほく。
J09_0581A02: 念するものもおほき中に。往生するもののまれなる
J09_0581A03: は。なにのゆへとか思ひ候へき
J09_0581A04: 答ていはく。人の心は外にあらはるる事なけれは。
J09_0581A05: その邪正さだめがたしといへとも。經には三心を具
J09_0581A06: して往生すとみえて候めり。この心を具せざるがゆ
J09_0581A07: へに。念佛すれとも往生を得さる也。三心と申は。一
J09_0581A08: には至誠心。二には深心。三には迴向發願心也。は
J09_0581A09: しめに至誠心といふは。眞實心也と釋して。内外と
J09_0581A10: とのほれる心也。何事をするにも。まことしき心な
J09_0581A11: くては成する事なし。人なみなみの心をもて。穢土
J09_0581A12: のいとはしからぬをいとふよしをし。淨土のねがは
J09_0581A13: しからぬをねがふ氣色をして。内外ととのほらぬを
J09_0581A14: きらひて。まことの志しをもて。穢土をもいとひ淨
J09_0581A15: 土をもねがへとをしふる也。次に深心といふは。佛
J09_0581A16: の本願を信ずる心也。われは惡業煩惱の身なれとも
J09_0581A17: 佛の願力にて。かならす往生するなりといふ道理を
J09_0581B18: ききてふかく信じて。つゆちりばかりもうたがはぬ
J09_0581B19: 心也。人おほくさまたげんとして是をにくみ。これを
J09_0581B20: さへぎれとも。これによりて心のはたらかざるをふ
J09_0581B21: かき信とは申也。次に迴向發願心といふは。わが修す
J09_0581B22: るところの行を迴向して。極樂にむまれんとねがふ
J09_0581B23: 心也。わが行のちから。わが心のいみしくて往生すへ
J09_0581B24: しとはおもはず。佛の願力のいみじくおはしますに
J09_0581B25: よりて。むまるべくもなきものも生るへしと信じて。
J09_0581B26: いのちをはらは佛必すきたりてむかへ給へしとおも
J09_0581B27: ふ心を。金剛の一切のものにやぶられざるかごとく。
J09_0581B28: この心をふかく信じて。臨終までもとほりぬれは。十
J09_0581B29: 人は十人なからむまれ。百人は百人なからむまるる
J09_0581B30: 也。されはこの心なきものは。佛を念ずれとも順次の
J09_0581B31: 往生をばとげす。遠縁とはなるへしこの心のをこり
J09_0581B32: たる事は。わが身にしるへし。人はしるへからす
J09_0581B33: 問ていはく。往生をねがはぬにはあらす。ねがふと
J09_0581B34: いへともその心勇猛ならす。又念佛を賤しと思ふに

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