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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0580A01: とにはあらず。ただつねに念佛して。そのつみをは滅
J09_0580A02: すへし。されはむかしより在家の人。おほく往生した
J09_0580A03: るためしいくはくかおほき。心のしづかならざらん
J09_0580A04: につけても。よくよく佛力をたのみ。もはら念佛すへ
J09_0580A05:
J09_0580A06: 問ていはく。念佛は數遍を申せとすすむる人もあり
J09_0580A07: 又さもなくともなど申人もあり。いづれにかしたが
J09_0580A08: ひ候へき
J09_0580A09: 答ていはく。さとりもあり。ならふむねもありて申
J09_0580A10: さん事は。その心のうちしりがたけれは。さだめが
J09_0580A11: たし。在家の人の。つねに惡縁にのみしたしまれ。
J09_0580A12: 身には數遍を申さずして。いたづらに日をくらし。
J09_0580A13: むなしく夜をあかさん事。荒凉の事にや候はんずら
J09_0580A14: ん。凡夫は縁にしたがひて退しやすき物なれは。い
J09_0580A15: かにもいかにもはげむへき事也。されは處處に。おほく念
J09_0580A16: 念相續してわすれざれといへり
J09_0580A17: 問ていはく。念念にわすれざる程の事は。わが身に
J09_0580B18: かなひがたくおほえ候へ。又手には念珠をとれとも
J09_0580B19: 心にはそぞろ事をのみおもふ。この念佛は往生の業
J09_0580B20: にはかなひかたくや候はんすらん。これをきらはれ
J09_0580B21: は。この身の往生は不定なるかたもありぬへし
J09_0580B22: 答ていはく。念念にすてざれとをしゆる事は。人のほ
J09_0580B23: どにしたがひてすすむる事なれは。わが身にとりて
J09_0580B24: 心のをよび。身のはげまん程は。心にはからはせ給ふ
J09_0580B25: へし。又念佛の時惡業のおもはるる事は。一切の凡夫
J09_0580B26: のくせ也。さりなからも往生の心さしありて念佛せ
J09_0580B27: は。ゆめゆめさはりとはなるへからす。たとへは親子
J09_0580B28: の約束をなす人いささかそむく心あれとも。さきの
J09_0580B29: 約束變改する程の心なけれは。おなし親子なるがこ
J09_0580B30: とし。念佛して往生せんと志して。念佛を行するに。
J09_0580B31: 凡夫なるがゆへに貪瞋の煩惱おこるといへとも。念
J09_0580B32: 佛往生の約束をひるがへさざれは。かならず往生す
J09_0580B33: る也
J09_0580B34: 問ていはく。これ程にやすく往生せは。念佛するほ

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